自由詩コーナー
谷口 謙 選
星座図鑑(69)みなみじゅうじ座
m.
ここからでもかすかに見えますよ
え よくわからないですね
あれですよ あれ
ああ‥
もうひとつわかっていない
が
きっと輝いているのだろう
私の見えていない彼方では
杭
加藤善郎
雪をいただく峨々たる連峯
地上は泥と岩と褐色の熱砂
うごめいているテロ集団を
モダーンな軍隊が攻める
中世のロケーションの中
この数年何度繰返されていることか
攻める側にも当然の犠牲
時には都心に集まる人々に……
あの世は佳いとの自爆御供
嘗てあった護国の特攻
今 この杭に未来は――
それにしても凄いよね 宗教
ある女
門林岩雄
あの人は いつもそばにいて
わたしをみまもって くれます
あの人の声が きこえてきます
先生の出された 薬をのむと
あの人の声が とまってしまいました
わたしはあわてて 薬をやめました
あの人の声が
再びきこえてきたときの
うれしかったこと……
あの人の声が
幻聴だなんて……
わたしはそんなこと 信じません
秋たけなわ
鶏頭があかあかと 燃えている
かたわらで イナゴが
草をよじのぼり よじのぼり
相手を探すのに 懸命だ
仮面
般若の面がとれなくなった
般若を演じつづけよう
「やがては消え去る花であろうとも、老いゆくことは、即ち老いそのものが一つの花なのではなかろうか、その内なる花芯を私は大切にしたいと考える」(山田博)
詩は花なんですね、いくら暗い詩でも、詩である以上、詩は花だと考えて下さい。常連の加藤さん、m.さん、門林さん、皆さん、いい花を咲かせていらっしゃいます。どうか根気よく続けて下さい。詩の思いは果てしないものです。
<応募要領>◇字数:原稿用紙1〜1枚半◇未発表のもの。応募作品は返却しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月20日締切◇第1席入選者には図書カード贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。1月は休載します。
【京都保険医新聞第2669号_2008年12月15日_7面】