医療安全管理者研修セミナー開く

医療安全管理者研修セミナー開く

 協会は、診療報酬上認められている医療安全対策加算の要件を満たす、5日間の医療安全管理者研修セミナーを10月に開催した。主な内容は、(1)医療安全に関する制度、(2)医療安全のための組織的な取り組み、(3)事例分析・評価・対策、(4)コミュニケーション能力の向上、意識の向上、(5)医療事故発生時の対応、(6)職員の教育研修等についてで、レクチャーやグループ別ワークショップを通じた研修を行った。看護師、薬剤師など10医療機関13人が参加し、1日8時間5日間の計40時間にわたる研修を履修した。最終日には、貫戸副理事長から修了証を授与した。

セミナーのもよう
セミナーのもよう

参加記 職種横断的議論の大切さを実感

京都市立病院 副看護師長 中村 直美

 今回の医療安全管理者研修セミナーは、医療安全の基礎知識、組織的な取り組み、医療訴訟やヒューマンエラーなど多岐にわたる研修内容でした。たくさんの先生方の講義を聴き、ワークショップで討議を行い、大変有意義な5日間でした。

 講義では、実際の医療訴訟の判例について紹介があり、刑事責任を問われた事例は、決して特殊な出来事ではなく、私たちも遭遇する可能性があることを実感しました。いくつかの要因が連鎖して、連鎖が断ち切られないまま重大な事故へとつながっているものもありました。痛ましい事故が起こらないようにシステム的思考で、ひとつでも多くの防護壁となる対策を立案することが必要だと感じました。

 ワークショップでは、ヒヤリハットレポートの分析方法や対策立案を学びました。医療事故防止の基本概念は「人は誰でも間違える」ということです。人の状態を変えることはできなくても、働く条件や環境を整えることはできます。「なぜ、なぜ」と原因を掘り下げて洗い出し、環境、設備、管理的に改善策を立案することが必要です。実際に行った背景要因分析では、他施設の看護師、薬剤師、臨床検査技師など、さまざまな職種の方と意見交換を行い、広い視野で要因を多角的に分析することができ、職種横断的なディスカッションの大切さを経験することができました。

 当施設は、自治体病院として市民の期待も大きく、高い水準の医療を提供することが求められています。患者様の立場にたち、患者様が安心して医療を受けることができるように、私たちは医療安全について、真剣に取り組んでいかなくてはなりません。今回の研修での学びを、施設での医療安全活動に役立てていきたいと思います。

 貴重な研修の機会となりましたことに感謝いたします。

【京都保険医新聞第2669号_2008年12月15日_7面】

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