日本ローカル鉄道の旅 その5(特別篇)京都から稚内まで 鈍行列車乗継ぎ6日間の旅(2)

日本ローカル鉄道の旅 その5(特別篇)
京都から稚内まで 鈍行列車乗継ぎ6日間の旅(2)

北大路 博央(北)

第1日:京都−敦賀−福井−富山−直江津402km
高齢者15人、日本海沿岸を一路北上

 9時46分京都発湖西線経由敦賀行新快速の先頭車輌前方ドアから乗り込む。添乗のY氏(30歳代イケメン)が迎えてくれる。日曜日のこともあって約90%の乗車率、辛うじて座れる。ツアー御一行は4ペア・7シングル(男性3、女性4)の15人。いずれも旅慣れた高齢者で若者は皆無。

京都駅を新快速で出発
京都駅を新快速で出発

 湖西線はマキノを過ぎるまでは大都市近郊線の様相がある。海津大崎の辺りから琵琶湖北端を横切って山中に入り、近江塩津で米原からの北陸本線と繋がる。この辺りは豪雪地帯で、昭和40年代前半湖北の僻地病院で6年間勤務医として過ごした時、想像を絶する豪雪に悩まされ約2週間病院の駐車場から車を出せなかったことを思い出す。

 敦賀で1回目の乗り換えの待ち合わせ30分、この間に駅弁(小鯛ずし)が配られ、11時43分発福井行鈍行に乗り継ぐ。小ぎれいな車輌2輌で女性乗務員が検札、京都―稚内のキップを見ても全くの無表情、無愛想そのものである。普通、車掌さんは通しの長距離キップを見せると「お気をつけて…」とか「大変ですね」とか、オアイソを言うものだが…。

 福井駅では6分の待ち合わせで跨線橋を渡ってのホーム移動が大変、この旅ではキャリーバッグを抱えての跨線橋移動にしばしば悩まされる(ローカル線ではエスカレーター、エレベーターのない駅が多い)。JRのスジヤ(時刻表編成担当)は高齢者が荷物を持って跨線橋の階段を昇り降りに要する時間は考えに入れてないかのようだ。

 12時46分福井発富山行鈍行に乗る。途中、高岡では3年程前ここで氷見線、万葉線に乗り継ぎ、右に氷見海岸、左に立山連峰の眺望を楽しんだこと、伏木ではロシア人が群れをなしていたことなどを思い出す。

 富山でも5分でホーム移動、これが本日の最後の乗り換えと思って黙々と足を運ぶ。さながら苦行僧の心境である。15時40分発直江津行鈍行は90%の乗車率で辛うじて2人並んで座れた。同席の富山県人のオバサンと話をして「稚内まで鈍行で行く」と言うとオバサンは大げさにのけぞってびっくり仰天の様子、少々愉快になる。

富山発直江津行列車、だんだんうらびれてくる
富山発直江津行列車、だんだんうらびれてくる

 筒石駅はトンネル内の小駅で、ホームには駅員が一人ポツンと立っているだけで乗降客なし、地上に繋がる階段だけが立派、ちょっと降りてみたくなる駅だ。

 17時50分直江津着、今回の旅での最長走行距離をこなして第一日は無事に終わった。直江津は鉄道の要所で、長野から来る信越本線と繋がっている。構内は広く機関庫も立派なわりに駅舎は大したことはない。駅から道路を一つ隔てたビジネスホテルの姉さん格のホテルセンチュリーに投宿。ホテルレストランのフレンチまがいの夕食で全員が生ビールの乾杯!(続)

直江津駅に到着
直江津駅に到着

1日目の行程

【京都保険医新聞第2665号_2008年11月17日_6面】

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