読者のひっち俳句
隆英 選
入選
まろき地球潮岬は五月晴
佳久朗
佳作
斉王代比叡(ひえ)も緑の晴着着て
佳久朗
夏木立無情迅速苔の墓
佳久朗
次々と逝く友送る梅雨の街
善郎
梅雨霄れ間子らの見つけし天の川
善郎
替へ牛のしんがりにして加茂祭
絢子
青嵐見舞ふ言葉を選びつつ
絢子
池の面は水草が生ひて一人占め
絢子
つゆ晴間枇杷の実をとる親子かな
素
(仮名づかいは新旧自由、佳作は順不同)
短 評
佳久朗さん、潮の岬は本州の最南端。私は昭和28年頃友人と行ったことがあります。ここで眺める南の海はわずかながら弧状に見えますから、地球は円いんだなあという感じを抱かせると思います。しかし、なにしろ五十数年前のことですから、はっきり覚えていません。五月晴だった由、海は紺青でさぞかし美しく、爽快だったことでしょう。斉王代は葵祭、この頃の比叡山も新緑で美しいです。
善郎さん、昨年私も同級生を二人亡くしました。同じ年齢の友人に逝かれるのはショックです。梅雨が作者の気持ちをあらわしています。
絢子さん、見舞に行っても病気によっては慎重に言葉を選ばねばなりません。窓に迫る「青嵐」が複雑な心境を代弁しています。
素さん、専門に栽培している枇杷は別として、大きな木になっているのでしょう。小さくても甘いと思います。
選者吟
薬包紙の鶴・百合あふれ柩閉づ
隆英
<応募要領>◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。
【京都保険医新聞第2647号_2008年7月14日_3面】