全国医師連盟の設立集会へ参加してきました
崩壊しつつある医療現場をなんとかしたいという切実な思いは、地域の医師たち共通の思いだと思います。その思いをひとつの形にする取り組みが進んでいます。私自身そこに参加した経験を、皆さんにご報告させていただきたいと思います。
この6月8日、全国医師連盟の設立総会・集会が、東京で開催されました。インターネット上での交流に端を発した新しい流れが、ひとつの節目と出発を迎えたことになります。
午前中は総会。午後は一般参加者や記者にも公開しての設立集会でした。代表の黒川衛医師(真珠園療養所)は、「医療崩壊の局面に、既存組織が解決への方向性を示しきれない現状。現場の医師による新しい組織が必要。活動の重点は、診療環境の改善、医療情報の発信、医療の法的倫理的側面の解決。会員数は740人、実名発起人150人。会員全員による投票で役員を選出。医療費はムダ金ではなく、国民の幸せをつくるための政策予算であること、日本の国力増進につながることを申し上げたい」、と力強く記者会見。
東京大学医科学研究所の上昌広先生、小松秀樹先生(虎の門病院)、本田宏済生会栗橋病院副院長、その他政党や労働組合からの祝電の報告に続き講演。佐藤一樹先生「被告人の立場からみた東京女子医大心臓手術事件の経緯」。川嵜真先生「被告人支援者医師の立場からみた杏林大学割り箸事件の経緯」。中原のり子氏「医師の過労と医療の改善〜あなたの子供のいのち、疲れ切った小児科医に任せますか?〜」、江原朗先生「医師の長時間勤務で医療安全は低下」、澤田石順先生「患者及び医師の医療権を確立するための試み-行政訴訟という手段-」、木田博隆先生「いまこそ医師の自律性が求められている-実践的倫理事始め-」。いずれも、現状に対する率直な怒りに裏打ちされながら、分析に基づき、何よりも、現実を変える為に今行動しようというメッセージが伝わってくる講演でした。
現状を変えたいという真剣な思いが形になりつつあると感じさせられた一日でした。
(京都協立病院 小林 充)
【京都保険医新聞第2647号_2008年7月14日_3面】