NPT再検討会議が閉幕
核兵器の廃絶・禁止を求める声 保有国を包囲
5年に1度開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、5月22日閉幕した。最終合意文書が「決裂」という結果となったが、実はそこにこそ、追い詰められた核兵器保有国の姿が顕れている。前回(2010年)の再検討会議「最終文書」が「核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすことに深い懸念を表明する」と謳い、「核軍縮の人道的側面」へ世界的な関心が寄せられてきた。13年3月4日から5日にかけてはノルウェー外務省が主催し、オスロで「核兵器の人道的影響に関する国際会議」も開催され、五つの保有国を除く127カ国の政府代表、国連、赤十字国際委員会等の国際機関、NGO活動家が集った。以降、核兵器の非人道性から「核兵器の非合法化」を目指す各国世論が醸成されてきたのである。
核兵器禁止の法的枠組みを目指すも
今回のNPTの焦点は、非人道性から核兵器禁止の法的枠組みを目指す流れを、核兵器保有国も含めたNPT加盟国の間でどのように合意形成がなされるのかが焦点だった。しかし、アメリカをはじめとした保有国は法的枠組み形成の議論を警戒し、日本政府代表も被爆国でありながら、非人道性には言及しつつも、法的枠組みの必要性に明言しない態度だった。結果として、最終合意文書自体が決裂した背景には、もはや保有国と非保有国の間で妥協的な合意成立の条件が狭まり、保有国が追い詰められた結果であるとの見方も成り立つ。
古都京都からのアピール
今回、協会も加盟する核兵器廃絶京都アクション2015実行委員会は、14年9月の君島東彦立命館大学教授を招いた講演会を皮切りに、11月のスティーブン・リーパー氏講演会(元広島平和文化センター理事長)を成功させ、再検討会議目前の4月には有馬底氏(臨済宗相国寺派管長)や瀬戸内寂聴氏(作家・僧侶)ら、京都ゆかりの文化人・著名人の呼びかけによる「古都京都からのアピール」に取り組んだ。アピールは222人の賛同を得て、安倍首相と核兵器保有国に届けた。のみならず、ニューヨークで取り組まれた世界的な市民行動参加者に託して、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表、タウス・フェルーキNPT再検討会議議長、日本政府代表部二等書記官にも手交した。
NPT再検討会議の結果を受け、今後、私たちが何をすべきか。そのアクセス手法について、世界的な議論はすでに開始されている。京都では実行委員会主催による講演会を6月30日に予定している。核兵器廃絶への道は険しいが、その歩は必ず前進の途にある。