津波被災者の身元確認に難しさ/京都府医・救護チームが会見  PDF

津波被災者の身元確認に難しさ/京都府医・救護チームが会見

 京都府医師会(森洋一会長)が宮城県に派遣していた東日本大震災の救護医チーム4人が3月17日、京都市に帰り、午後、京都府医会館で記者会見した。一行は、日本医師会のJMATの対応を兼ね、京都府災害支援本部と連携しながら、京都府医が編成し派遣していた。第2班は3月19日から、第3班は3月22日から、それぞれ4人の医師によるチームを編成して派遣することが決まっており、その後も順次3日間単位のローテーションで派遣する。

 3月17日に戻った第1班は、仙台市医師会の要請を受ける形で、検案業務を行うため仙台市、名取市の3カ所の遺体安置所を訪れ、地元医師会、警察、消防などとの連携で検案作業を行った。メンバーは池谷博氏(京都府立医科大)、池川雅哉氏(京都府立医科大)、三上芳喜氏(京都大)、鈴木博雄氏(内科外科開業医)の4人。

 一行は3月15日に空路で仙台市に入り、1カ所設置されている宮城県総合運動センターの遺体安置所で作業した。3月16日は津波被害の大きかった名取市閖上地区にある2カ所の遺体安置所で検案を行った。

 4人の報告を総合すると、仙台市では250−300の遺体があったが、うち180遺体ほどはすでに棺に入れられていた。しかし、その他の遺体は清拭がされていないままで、落差が印象的だったという。検案は、身元確認のための血液、歯型、指紋の採取も行うため、どんなに急いでも30−45分はかかり、さらに、運び込まれる遺体も多いことから、なかなか検案業務が進まない印象を受けたという。

 3月17日の名取市の検案は2安置所に2人ずつ分かれて対応した。ほとんどが津波に遭った遺体だった。阪神淡路大震災では居宅倒壊による死亡が多かったため、比較的早く身元確認できたが、津波被災者は身元確認に慎重さが求められると実感したとい
う。

 名取市では地元医師会と連携して検案した。普段診ている患者や白衣を着たままの開業医ら顔見知りの遺体を発見するたびに、地元の医師らは無念さを感じていたという。

 3月19日に派遣する第2班は、京都府医の北川靖副会長をリーダーに開業医3人、勤務医1人の構成で、福島県会津若松市の避難所での救護活動に参加する。

 森会長は「亜急性期から慢性期の患者のケアが今後必要。地元医師会、自治体と連携して精いっぱい支援する」とし、第2班は降圧剤など持てるだけの医薬品を携行する方針も明らかにした。必要な医薬品に関しては第2班が現地のニーズを把握し、今後の支援策に反映させる。(3/18MEDIFAXより)

ページの先頭へ