麻しん排除計画から2年半「患者数は著減」/厚労科研が中間評価  PDF

麻しん排除計画から2年半「患者数は著減」/厚労科研が中間評価

 2008年の麻しん排除計画の開始から2年半が経過し「患者報告数は著減した」とする中間評価を3月2日、国立感染症研究所感染症情報センターの砂川富正氏が厚生労働省の「麻しん対策推進会議」で報告した。中間評価では、09年度末時点までの予防接種率は第1期・第2期ともに90%台を維持しているものの、国全体では目標である接種率95%を達成していないと指摘し、今後の取り組みについて提言した。

 「麻疹排除計画中間評価(主に10年8月時点)」は、厚生労働科学研究費「ワクチン戦略による麻疹および先天性風疹症候群の排除、およびワクチンで予防可能な疾患の疫学並びにワクチンの有用性に関する基礎的臨床的研究」(研究代表者=岡部信彦・感染研感染症情報センター長)の一環として行われた。中間評価では、今後の取り組みとして▽接種率95%以上に向けて未接種者の把握や個別勧奨の徹底▽全例検査診断化へのサーベイランス届け出定義の変更▽国レベルでのキャンペーン戦略―などを提言した。

●麻しん排除の目安を15道県が達成
 現在、国内では12年度までの麻しん排除達成に向けて取り組みを行っている。国立感染症研究所の麻しん対策技術支援チームによると、10年の麻しん患者年間累積報告数は450例で、08年の1万1015例から比較して96%減少した。また、麻しん排除の定義である「人口100万人に1人」について10年は15道県で達成したものの、全国的には3.5人となり、目安の1.0人を上回っている。

 同チームは「麻しんの確実な検査診断が重要になっている。検査結果の妥当性を検討する根拠となる発病日や検体採取日の把握も重要性が増してきている」としている。(3/3MEDIFAXより)

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