希望者は研修なしで継続可能/介護職員らのたん吸引・経管栄養
厚生労働省は、たんの吸引や経管栄養の実施が「違法性阻却」として運用上認められている介護職員らについて、2012年度以降も継続して実施することを希望する場合は、現在、通知で認められている行為・範囲に限って実施を認める認定証を発行することを決めた。現在、認められている行為・範囲であれば、追加的な研修は不要。今国会に提出する予定の介護保険法改正案に盛り込む。
厚労省は「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」での議論を踏まえ、今国会に提出する介護保険法改正案で、12年度以降、たん吸引と経管栄養については今後養成する介護福祉士の標準業務として位置付けるほか、一定の研修を受けた職員の実施も認める内容を盛り込んだ。法整備と併せて、現在運用上認められている介護職員らも継続して実施できる経過措置も検討してきた。
●他の範囲は追加研修
12年度以降もたんの吸引や経管栄養を継続して実施することを希望する場合、現在、たんの吸引や経管栄養の研修を行っている事業者などを通じ、法施行前に厚労省が通達する予定の手続きに沿って都道府県に申請すれば、法施行後も支障なく実施できるよう調整する。現在認められている範囲以外も実施したい場合は、その行為・範囲に関する追加的な研修を受講する必要がある。
通知による違法性阻却として認められているたん吸引と経管栄養の範囲は「鼻腔内のたん吸引」「口腔内のたん吸引」「気管カニューレ内のたん吸引」「胃瘻」「腸瘻(空腸瘻)」「経鼻経管栄養」の6つに分けられる。
職員らが実施する場所によって認められている行為やその範囲がそれぞれ異なることや、職場でのOJTが違法となってしまうことなどが、行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」で指摘され、菅直人首相も早急な法整備の検討を指示していた。
現在、実施場所ごとに認められている行為と範囲は以下の通り。
▽在宅=鼻腔・口腔・気管カニューレ内のたん吸引▽特別支援学校=鼻腔・口腔内のたん吸引、胃瘻、腸瘻(空腸瘻)、経鼻経管栄養▽特養=口腔内のたん吸引、胃瘻(2/25MEDIFAXより)