赤字病院は60%台に減少/全自病、09年度決算見込額調査  PDF

赤字病院は60%台に減少/全自病、09年度決算見込額調査

 全国自治体病院協議会が7月27日までにまとめた2009年度「決算見込額調査報告書」によると、会員病院で地方独立行政法人が設置する病院を除く474病院のうち赤字病院は290病院で全体の61.2%を占めた。08年度決算の339病院から49病院減少し、割合も71.5%から10.3ポイント減少した。

 全自病の石黒久也経営指導部長は、赤字病院の減少について「09年度は公立病院改革プラン実施の初年度に当たり、各自治体病院が人員の確保や経費削減などに努力した部分が大きい」と述べた。ただ、病床規模が小さい病院では依然、医師数が減少していると指摘。自治体病院の経営状況について「良いところは良く、悪いところは悪くなり、格差が拡大して2極化している」とし、今後の推移を見守る姿勢を強調した。

 調査は全自病会員の病院のうち、地方公営企業法の適用病院と地方独立行政法人が設置する病院の合計930病院を対象に行った。集計できたのは481病院で回収率は51.7%だった。

 適用病院の474病院について見ると、入院収益は2.7%増、外来収益も 3.4%増でともに増加した。1病院当たりの1日平均入院患者数は196.5人で、前年度200.0人から1.7%減少した。入院の患者1人1日当たり診療収入の平均額は3万8990円で前年度から4.5%増加した。患者数の減少を上回る入院単価の増加が収益増につながった。一方、外来については、1日平均外来患者数は481.3人で前年度から1.9%減少した。外来の患者1人1日当たり診療収入の平均額は1万612円で前年度から5.4%の増加だった。

 適用病院で赤字病院の割合が多い病床規模は200−299床の74.5%で対前年度4.2ポイントの減少。この規模の病床数の病院は前年度調査でも赤字病院が多く、石黒部長は「大規模と小規模の間にある病院の厳しい決算が続いている」と指摘した。次いで300−399床が71.6%で対前年度13.5ポイント減、400−499床が67.3%で4.1ポイント減、100−199床が64.1%で9.3ポイント減、500床以上が49.0%で15.7ポイント減、20−99床が48.1%で14.4ポイント減となっている。

 地方独立行政法人が設置する7病院については、前年度からすべて黒字病院となっており、今回の調査で黒字幅がさらに拡大した。

 全自治体病院の最終決算はあらためて総務省が公表する。全自病は「過去の傾向から、全病院の決算では、赤字病院の割合などは全自病の調査より悪化する可能性が高い」としている。(7/28MEDIFAXより)

ページの先頭へ