地域貢献加算、都市部などで伸び悩み/メディファクス調査  PDF

地域貢献加算、都市部などで伸び悩み/メディファクス調査

 2010年度診療報酬改定で創設された「地域医療貢献加算」の算定を届け出た診療所は6月1日時点で全診療所の21.9%だったことが、メディファクスの調べで分かった。厚生労働省は加算の届け出施設割合について「おおむね3割程度が算定可能」との試算を示していたが、改定後2カ月を経て20%台前半となっている。患者からの時間外の電話対応などが求められるため、東京、神奈川、千葉、大阪など、いわゆる「ビル診」が多い都市部で低迷が目立つのに加えて、地方でも届け出施設割合が10%台にとどまる県があり、地方での“伸び悩み”も見られる。

 メディファクスは、地方厚生局都道府県事務所に同加算の届け出状況を取材した。医科診療所数8万8113施設に対し、同加算の届け出診療所数は1万9323施設だった。メディファクスが前回実施した5月1日現在(長崎のみ4月1日現在)の調査時(21.5%)より0.4ポイント増えた。

 届け出施設の割合が10%台だったのは14都道府県だった。うち政令指定都市のない都道府県は、青森(12.0%)、福島(18.7%)、山梨(17.8%)、滋賀(15.1%)、奈良(19.9%)、山口(16.1%)、沖縄(12.4%)の7県に及ぶ。20%台は17府県、30%台は13県、40%台は2県、50%台は1県だった。

●背景に医師会の“温度差”

 割合が地方で大きくばらついている背景には、地方医師会の“温度差”もあるようだ。全国で千葉(11.4%)に次いで2番目に割合が低かった青森の齊藤勝・県医師会長は、青森市医師会長だった3月に、市医の会員に対し届け出をしないように伝えたという。「24時間365日対応という要件は、医師を人間として見なしていない。廃止にすべきだ」と主張する。一方、全国で最も割合の高かった石川県(50.7%)の魚谷浩平・県医師会理事は「3月に開いた改定説明会で、勤務医の負担軽減という趣旨にかんがみて、積極的に届け出るように説明した」と話す。

●精神科は1割程度

 同加算の届け出は診療科によってもばらつきがあるようだ。日本精神神経科診療所協会が10年5月に会員向けに実施した調査では、回答した611施設のうち同加算を届け出たとしたのは64施設。届け出施設の割合は10.5%で、全診療所の約半分の水準にとどまっている。同協会医療経済委員会の堤俊仁委員長は「精神疾患患者の特性上、無定形に時間外対応を受け付けると治療構造を崩してしまうため、3月に加算を積極的に取らないように指導した」と話している。(8/10MEDIFAXより)

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