定点比較では「重度化」進む/慢性期評価、次期改定へ議論本格化
厚生労働省は6月11日の中医協・慢性期入院医療の包括評価調査分科会で、2008年度実施した慢性期入院医療の実態調査のうち、施設特性と患者特性に関する調査結果を報告し、次期診療報酬改定に向けた慢性期医療の評価の在り方に関する本格的な議論に入った。病院の患者特性に関する調査では医療区分ごとの患者割合に大きな変化は見られなかったものの、06年度と08年度のいずれも回答した病院に限ると、区分1の割合が減少し区分3の割合が増加する「重度化」の傾向が見られた。厚労省は次回分科会でコスト調査やレセプト調査の結果も示す方針で、8月上旬には次期改定での慢性期医療の考え方をまとめたい意向だ。
施設特性調査は136病院、97診療所、患者特性調査は136病院、96診療所から回答があった。病院の患者特性調査で、医療区分別の患者7829人分の割合は「区分1」が31.3%(前回比0.9ポイント減)、「区分2」が48.9%(同0.2ポイント増)、「区分3」が19.8%(同0.8ポイント増)と前回とほぼ同様の構成だった。ただ前回と今回の両方に回答した「共通施設」(24病院)の1929人分に限ると、「区分1」が25.5%で前回より4.8ポイント下がった一方、「区分3」は24.7%で前回より3.8ポイント上がった。
診療所に関しては「区分1」が44.2%、「区分2」が49.2%、「区分3」が6.6%。06年度有床診療所患者分類分布調査の結果と比較すると、「区分1」が減り「区分2・3」が増える傾向が見られた。
この日は、08年度改定時に課題に上がった「質の評価」に関する指標(QI)の前回との比較も示された。「身体抑制」などでは改善が見られた一方、「尿路感染」「留置カテーテル」などの項目では前回より悪化していた。ただ、「共通病院」のみの比較のため、委員からは「客対数が少ない」との指摘もあった。(6/12MEDIFAXより)