医療行為の特許化「適当でない」/内閣官房検討委が報告書
内閣官房知的財産戦略推進事務局が設置した「先端医療特許検討委員会」は5月29日、報告書をまとめた。焦点の1つになっていた手術、治療、診断方法などの発明の特許保護については「現時点では適当でない」と結論付けた。
報告書では、手術などの医療行為を含めた「人体に対する機械・器具の使用方法の発明」に関して(1)医師の研究活動の中で開発されることが多く、特許対象としても産業界に対するインセンティブが期待できない(2)技術の公開が遅れる(3)医師の行為を特許権の効力の対象外としつつ、(機械・器具を製造する)企業に対して間接侵害を問うこととする場合、間接侵害をめぐる紛争が多くなることへの懸念がある―などの理由を挙げ、特許保護の妥当性を否定した。
ただ、現行では特許対象となっていない「用法・用量の刷新により専門家の予測を超える効果を示す医薬の発明」や、MRIやCTによる画像撮影の仕組みなど手術、治療、診断工程を含まない「最終的な診断を補助するための人体のデータの収集方法」については、新たに特許対象とすべきだとした。(6/1MEDIFAXより)