梅毒が2年連続で急増/母子感染も増加懸念
一時は年間500人程度まで減った梅毒の患者報告が、2006年以降は2年連続で前年より約100人も増えたことが、国立感染症研究所のまとめで10月20日、明らかになった。妊婦から胎児に母子感染し、重症化や後遺症の恐れがある先天梅毒も、今後増加が心配されるという。
感染研が01−07年の全国の医療機関からの報告を分析したところ、減少傾向で03年には509人だった患者数が04年に増加に転じ、06年は637人、07年は737人と、いずれも前年を約100人も上回った。
患者の約4分の3は男性。年齢は、男性が20−40代前半、女性では10代後半−30代が多い。先天梅毒は00年以降、年間3−10人で推移してきたが、08年は8月下旬までに既に7人が報告されたという。
感染研感染症情報センターの多田有希室長は、特に先天梅毒の増加を警戒。「妊婦が感染していても、早くから薬で治療を始めれば赤ちゃんへの影響は防げる上、先天梅毒も早期診断で根治できる。妊婦は必ず健診を受け、妊娠中もコンドームの着用など感染予防に努めてほしい」と話している。【共同】