手術室ビデオ録画は2割のみ、費用面に課題も/麻酔科学会が調査
日本麻酔科学会は、2007年度の厚生労働科学特別研究で実施した手術室の映像情報などの記録や共有化に関するアンケート結果をまとめた。08年8月に被告医師に無罪判決が言い渡された福島県立大野病院事件で、被告弁護団と死亡した患者の遺族双方が「手術経過のビデオ記録」の必要性を指摘するなど、手術の映像記録化促進を求める声が高まっているが、アンケートの結果では、通常の手術で手術室全体を録画しているのは2割にとどまり、設備などに必要な費用の確保などが課題に挙がった。
同学会は08年1月、学会認定の医療機関1093施設を対象にアンケートを実施し、621施設から回答を受けた。
すべての手術室で手術室全体を録画しているのは21.5%、一部の手術室で録画しているのは6.0%だった。録画した映像を過去の記録として保存しているのは27.6%だった。未設置の施設に設置していない理由を聞いたところ「費用」が50.7%を占めた。今後設置の予定は、「ある」の6.9%、「検討中」の13.4%よりも、「なし」の49.8%、「未定」の29.9%の方が多かった。
顕微鏡・内視鏡手術の患部の映像モニターについては、全手術室での設置と一部の手術室での設置を合わせて96.9%に上ったが、過去の映像を呼び出せるのは51.3%だった。設置していない理由では「費用」が過半数の55.0%を占めた。(10/28MEDIFAXより)