病院勤務医数、在医学部医療圏の周辺で低い傾向/日医総研WP  PDF

病院勤務医数、在医学部医療圏の周辺で低い傾向/日医総研WP

 人口当たりの病院勤務医数は大学医学部のある2次医療圏で多く、その周辺の2次医療圏はむしろ少ない傾向にあることが、日医総研がまとめたワーキングペーパー(WP)で明らかになった。中でも東京23区から横浜市にかけた京浜圏とその周辺でこうした傾向が顕著だった。全国的には「不足地域と過剰地域が全国に偏在している」と分析している。

 WPは全国349の2次医療圏別に人口変化と医療資源に基づく分析データをまとめた。日本医師会の横倉義武会長は9月の関東甲信越医師会連合会定例大会で、2次医療圏ごとの分析について「医療計画を作る際の参考にしてほしい」と述べている。

 診療所を除いた病院医療資源(病床、勤務医、看護師など)の偏差値も示し、相対的な位置付けを明らかにした。2035年までの人口増加率や医療介護需要の増加予想も、2次医療圏ごとに示した。人口の流出入も地図上に図示した。11年3月以前のデータのため東日本大震災と原発事故の影響は反映されていない。

 2次医療圏を大都市型(人口密度が1000人/k?以上、または人口が100万人以上)、過疎型(人口密度が200人/k? 以下、かつ人口が20万人以下)、地方都市型(大都市型にも過疎型にも属さない)に分類すると、大都市型が73医療圏、地方都市型が131医療圏、過疎型が145医療圏で、過疎型が最も多い結果となった。大都市型は国内の面積の7%にすぎないものの、人口の53%が居住していた。一方、過疎型は面積の57%を占めながら、人口は13%だった。

 人口当たりの病院病床数(一般病床、療養病床、精神病床、感染・結核病床の合計)の偏差値は、北海道、東北北部、北陸、中国、四国、九州(沖縄県を除く)では多くの医療圏で高く、関東、甲信越では低い方が多数を占めた。

 人口当たりの一般病床数の偏差値は、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州(同)の多くの医療圏で高かった。一方、関東、東海では低い医療圏が多い。東北で偏差値が高くなった理由については「一般病床を療養病床的に使用している場合が多い」と分析している。また東北では、療養病床について偏差値が低い医療圏が多かった。関東(特に東京都と横浜市)、甲信越、関西でも療養病床が低い医療圏が多かった。

 人口当たりの回復期(リハビリテーション)病床数の偏差値は、四国、九州・沖縄の多くの医療圏で高く、東北南部、関東、甲信越、関西の多くの医療圏で低かった。人口当たりの総療法士数(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の合計)も中国、四国、九州・沖縄の多くの医療圏で高く、東北、関東、東海の多くの医療圏で低かった。リハビリに関する指標は西高東低の傾向が強く、中でも四国と九州・沖縄で高い傾向が顕著だった。

 人口当たりの総看護師数は、北海道、中国、四国、九州・沖縄の多くの医療圏で高く、関東、東海の多くの医療圏で低かった。都市部よりも過疎地域に人口当たりの看護師数が多い医療圏が見られた。(11/8MEDIFAXより)

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