患者の経済的理由で治療中断、大幅増/保団連調査
保団連が会員を対象に行った調査で、この半年間で患者の経済的理由が原因で治療を中断する事例があったとの回答が、2年前に比べ20%近く増加しているとの結果が出た。2012年に治療中断事例があったとする会員は2年前の38.7%から56.0%に上昇。医科で49.6%、歯科で64.0%となっており、保団連は命に影響しないことから歯科治療を中断する傾向が高いとみている。また、検査や治療・投薬について経済的理由で患者から断られた事例のあった会員は、2年前の43.1%から56.4%に増加。患者一部負担金の未収があった会員も、2年前の48.2%から55.1%に増加している。
調査は12年9月に保団連の医科・歯科開業医会員(病院・勤務医会員を除く)を対象に郵送で回答を得た。有効回収率は34.7%で、有効回答数は2976名となっている(医科1646名、歯科1330名)。
患者窓口負担に関する意識調査では、子供が「ゼロ割負担」、現役世代が「3割負担」、高齢者は「1割負担」とすべきとの意見がそれぞれ最も多かった。保団連は70−74歳の患者負担1割の継続に向けて、要望書を政府に提出するなど窓口負担をなるべく少なくするよう主張している。三浦清春理事は「診療報酬の多少の引き下げでは、窓口負担への影響は小さく、医療提供者の疲弊も生じる」と診療報酬での調節は好ましくないとの見解を示した。
●消費税、「ゼロ税率」最多も「軽減税率」が増加
医療に関わる消費税については、「診療報酬で補填されていない」と答えた会員が医科・歯科ともに7割を超えた。対策としては「ゼロ税率の適用」が前回4年前と同様に6割ほどで最も多かったが、12年の調査では軽減税率を求める声が医科で5.3ポイント増え15.9%に、歯科で9.1ポイント増加し19.2%となった。
新たに導入された「一般名処方加算」については、算定した会員と算定しなかった会員がともに4割程度と拮抗した。保団連は院外処方と院内処方を区別しなかったことが影響したとし、加算についての評価は未定としている。
共通番号(マイナンバー)制度も、「賛成およびどちらかと言えば賛成」と「反対およびどちらかと言えば反対」がそれぞれ4割程度と拮抗した。保団連は、医療を切り離せば利便性が高いとの声がある一方で、技術的には医療の組み込みはいつでも可能と懸念を示している。
TPPに日本が参加することについては、4割以上が「反対およびどちらかと言えば反対」としているものの、「賛成およびどちらかと言えば賛成」「どちらとも言えない」も3割近く存在した。(11/9MEDIFAXより)