社会保障の負担増を容認49.7%/厚労省・国民意識調査
厚生労働省が8月28日に発表した「社会保障に関する国民意識調査」によると、社会保障の負担増を容認する意見が49.7%に上り、負担減を求める声を上回ったことが分かった。
調査で今後の社会保障の給付と負担のバランスを尋ねたところ、「給付水準を保つためにある程度の負担増はやむを得ない」という意見が46.5%で最も多く、「給付水準を引き上げるために大幅な負担増もやむを得ない」の3.2%と合わせると、負担増を容認する人が全体の49.7%に上った。「給付水準を大幅に引き下げ、負担を減らすことを優先すべき」は14.4%、「給付水準をある程度下げても、従来どおりの負担とすべき」は21.8%だった。
この調査は「社会保障を考える」をテーマに掲げた「2012年版厚生労働白書」に利用するために実施した。調査は2月28日−3月1日にインターネット上で行い、3144人から回答を得た。国際社会調査プログラムの調査結果を用いて、国際比較や国内経年比較も行った。
●「高所得者はより良い医療」肯定派が49.6%に増加
医療に関する設問では、医療サービスを受ける平等性について尋ねた。「高所得者は低所得者よりも高額の医療費を払って、より良い医療サービスを受けられる」という考えについて「正しい」と回答した人が15.6%、「どちらかといえば、正しい」が34.0%となり、肯定的な意見は49.6%に上った。
1999年に同様の質問をした際には、肯定的な意見は17.7%にとどまっていた。2009年時点の調査では、肯定的な意見は31.1%だったため、所得に応じてより良い医療が受けられるという考えに賛成する人は増加傾向にある。
この質問に対する先進諸国の結果と国際比較してみると、肯定派の割合は英国では42.6%だったほか、アメリカが31.4%、オーストラリアが28.9%となり、日本が最も高い数値を示した。最も低かったのはフランスで2.9%だった。(8/29MEDIFAXより)