【日医】認知症施策報告書の策定過程を批判/日医・三上常任理事
日本医師会の三上裕司常任理事は8月8日の会見で、厚生労働省の「認知症施策検討プロジェクトチーム」(主査=藤田一枝厚生労働政務官)が6月に公表した報告書「今後の認知症施策の方向性について」を取り上げ、「策定過程が不明確であり、約7年前に出された介護療養病床の廃止方針と同様、現場の混乱を来すのみで、実行を伴わないことは明らか」と猛烈に批判した。ただ、「日本精神科病院協会と立場は違う」と述べ、大きな方向性については厚労省と一致しており、あくまで報告書の策定過程を問題視しているとの姿勢を強調した。
三上常任理事は同報告書について「医療現場の真摯な対応の軽視、理想論のみの反映など、一方的な官僚指導によるもの」と厳しく評価し、「療養病床の廃止方針が出された時と同じように省内だけで議論されて、全く関係者の意見を聞いていないということに強く抗議を申し上げたい」と述べた。
●“身近型”は唐突であり表層的
同報告書が新たに打ち出した身近型の認知症疾患医療センターについては、厚労省の「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第2R)」の取りまとめの指摘を「表層的に捉えるもの」と指摘。その上で「具体的にどのような医療機関、あるいはどのような役割を想定しているかが不明。(同第2Rの取りまとめは)地域における精神科医療機関、認知症サポート医や地域包括支援センターなどとの連携強化の必要性を指摘しているのみ」とし「認知症サポート医の役割を明確にし、地域における認知症ケアの実行性を高めるべき」と述べた。
また、三上常任理事は「厚労省内が縦割りを排除し、認知症対策に取り組むこと自体には賛同」と述べたほか「認知症の人への在宅医療の充実、地域で暮らし続けることが大事という視点は(報告書が示した方向性と)同じ」とも述べ「今まで議論したことのないような“身近型”などが突然出てくることが問題。日精協と立場は違う」と強調した。(8/9MEDIFAXより)