【指導・監査】保険医に弁護士の選任権を/指導・監査で健保法改正研究会
弁護士、医師、患者らでつくる「指導・監査・処分改善のための健康保険法改正研究会」は9月2日、東京都内で指導・監査の改善をテーマとしたシンポジウムを初めて開いた。問題を解決する必要最低限の措置として、健保法を改正し、指導・監査に当たって保険医の弁護士選任権を認めるよう求めた。
研究会共同代表の井上清成弁護士は研究会でまとめた健保法改正案の趣旨を説明した。「指導・監査による保険医の人権侵害が継続している」と述べ、弁護士選任権の確立が急務とした。
●保険医の権利「保証されていない」/溝部氏
国と東京高裁まで争い保険医の取り消し処分を撤回させた「溝部訴訟」当事者の溝部達子氏は、訴訟に至る概略を説明し、指導・監査の実態を報告した。溝部氏は、個別指導について「診療内容に対する非難・追及と心理的圧迫下での取り調べだった」と振り返った。患者会が活発に活動したことに触れ「私を救ってくれたのは患者と弁護士だった」と述べた。「保険医の権利は全く保証されていない。健保法を改正する必要がある」と主張した。
研究会の共同代表で溝部訴訟の代理人を務めた石川善一弁護士は、溝部訴訟の主張の根拠となった法律上の問題点を説明した。行政に広範な権限だけが与えられていると指摘し「健保法の前近代的な構造を変える必要がある」と訴えた。「この件は裁判が終わっても安心できない。法律が変わらなければ相談を受けても難しい状況は変わらない」と述べた。(9/4MEDIFAXより)