【厚労白書】一体改革背景に「社会保障を考える」/12年版厚労白書  PDF

【厚労白書】一体改革背景に「社会保障を考える」/12年版厚労白書

 政府は8月28日、「2012年版厚生労働白書」を閣議決定した。社会保障・税一体改革関連法の成立など社会保障制度改革が進むことを背景に、12年版白書のテーマには「社会保障を考える」を掲げた。日本の社会保障を多角的に捉えるため、これまでの歴史を振り返り、諸外国との比較も提示して、日本社会が抱える課題を浮き彫りにするよう努めた。厚生労働省は「国民一人一人が(社会保障に関する)国民的議論に参加する際に白書を活用してほしい」としており、グラフや図表を多用するほかコラムも取り入れるなど、読みやすさにも心掛けた。

 前年の11年版白書では、過去50年の日本の社会保障の歴史を取り上げた。12年版白書は、18世紀ヨーロッパで社会保障が誕生した時点まで掘り下げて説明し、社会保障に関わる哲学や理念も盛り込んだ。

 日本の社会保障についても、その仕組みを基礎から解説した。12年に実施した「社会保障に関する国民意識調査」の結果も取り上げ、日本が現在抱える課題を説明している。今後の対応が必要社会変化として少子高齢化や格差拡大などを指摘し、社会保障・税一体改革を「新たな日本の社会保障の構築に向けての第一歩」と位置付けた。

●保健医療システム「大切にしたい日本の長所」
 社会保障に関する日本と諸外国の比較では、「自立」や「健康」「社会保障の給付と負担」などに着目し、OECD加盟国34カ国のうち13カ国を対象に日本社会の特徴を考察した。日本の長所の一つとして、コストを低く抑えたまま高い平均寿命と低い乳児死亡率を達成した保健医療システムを取り上げ、「今後も大切にしていかなければならない長所」とあらためて強調した。国民の経済的自立度が比較的高いことも併せて長所に挙げた。

 短所としては、所得格差や国民の生活満足度の低さ、社会保障関係費の増加に伴う財政問題を指摘した。(8/29MEDIFAXより)

ページの先頭へ