【省内仕分】参照価格制度、大臣主導で検討提言/省内仕分け  PDF

【省内仕分】参照価格制度、大臣主導で検討提言/省内仕分け

 厚生労働省版提言型政策仕分けは7月6日、後発医薬品の使用促進策について、海外で導入されている「参照価格制度」の検討を盛り込んだ提言をまとめた。小宮山洋子厚生労働相は会合後、記者団に対し、近く作成する後発品使用促進のための「ロードマップ」に盛り込むことは考えていないものの、検討する仕組みは必要との認識を示した。

 提言は、従来の使用促進策の内容を点検し、さらに、実効性の高い取り組みを行うことを要求。後発品を使用する医療機関へのより効果的なインセンティブの付与を求めたほか、後発品を積極的に選択してもらう仕組みとして「例えば参照価格制度の検討」が必要とした。患者のコスト意識がより働く自己負担の在り方も海外事例を参考にしながら検討するべきだとした。

 努力義務となっている後発品の処方、調剤により実効性を持たせる仕組みの検討や、安定供給の取り組みが不十分な製薬企業に対して改善指導を強化することも求めた。

 後発品促進策のテーマで2度目となった仕分けでは、薬効分類ごとに保険償還価格の上限を決めている参照価格制度がドイツ、フランスで採用されていることが紹介された。日本では、後発品の薬価を償還価格の上限にする制度として解釈されているが、原案の段階で参照価格制度の検討は提言には盛り込まれていなかった。

 提言決定に先立つ議論の中で、構成員の中山弘氏(元ホンダ学園常務理事)は「なぜ日本で参照価格制度が採用されていないのか」と導入を迫ったが、厚労省保険局の吉田易範薬剤管理官は、過去に省内で検討された経緯があるものの、患者の自己負担増に懸念を示す医療従事者の反対などによって断念した経緯を説明。「慎重に検討したい」と述べるにとどめた。

 これに対し、構成員の宮山徳司氏(埼玉医科大医学部特任教授)は、すでにビタミン剤などが医療保険から外れていることは患者にも受け入れられていると述べ、医薬品の参照価格制度を特別視することはおかしいと指摘した。

 同席していた小宮山厚労相は、「後発品をもっと促進するロードマップを、今までやってきたことをさらにバージョンアップさせて2012年つくると約束している。役所用語で『慎重に検討』はしないこと。少なくとも『慎重に』は取りなさい」と吉田管理官に発言の修正を指示。参照価格制度の検討を提言に盛り込む流れが決まった。(7/10MEDIFAXより)

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