【中医協】医療者も保険者も、機能分化に高い関心/中医協が仙台で公聴会  PDF

【中医協】医療者も保険者も、機能分化に高い関心/中医協が仙台で公聴会

 中医協総会は1月24日、2014年度診療報酬改定に向け仙台市で公聴会を開き、公募の中から公益委員に選ばれた10人が、それぞれの立場から現場の実情を語った。14年度改定の柱である医療機関の機能分化には、医療提供者も保険者も言及。関心の高さがうかがえた。

●報告制度との整合性が不明瞭
 福島県郡山市で99床の土屋病院を経営する土屋繁之院長(医療法人慈繁会理事長)は決定した改定率を「増税対応分を除けばマイナス1.26%で非常に厳しい財源」と表現した。機能分化では「病床機能報告制度との関係が不明瞭だ。医療法と診療報酬の整合性を図ってほしい」と要望。7対1病床の絞り込みについては特定除外制度の見直しなどを挙げ「診療報酬による行き過ぎた誘導は避けるべき」と指摘した。亜急性期病棟が在宅患者の急変を受け入れる場合は「急性期と同等の評価が必要だ」とも述べた。

 中川俊男委員(日本医師会副会長)は病床機能報告制度と診療報酬の整合性について「具体的にどんな心配があるか」と質問。土屋氏は「地域でつくりたい医療体制があっても、診療報酬次第でそれができない状況が発生すること」と回答した。中川委員は、報告制度の結果ですぐに医療提供体制が決まるわけではないとした上で「地域医療ビジョンや医療計画の作成過程に積極的に関与してほしい」と協力を求めた。

 宮城県にある涌谷町町民医療福祉センターの佐々木敏雄氏(副センター長兼福祉課長)は、機能分化・連携には患者情報の共有が不可欠とし「ICTとセットでないと分化と連携は推進できない。ICT導入の負担を軽減する制度が必要だ」と求めた。

 東北電力健康保険組合(仙台市)の大内孝夫常務理事は保険者の厳しい財政状況を訴え「改定率は若干プラスになった。大変残念」と本体プラス0.1%に肩を落とした。今後の点数設定の議論では「高度急性期から慢性期に至る病床の役割を明確にし、機能分化の推進を重点に置いて評価すべき」と指摘。主治医機能の評価では「1医療機関の算定を前提に、指導料や処方箋料などを包括した評価体系にすべき」とした。

●有床診は災害に強い
 宮城県気仙沼市で有床診療所の森田医院を経営する森田潔・理事長兼院長は、東日本大震災で施設が大規模半壊したが、入院を継続し、被災1週間後に外来・在宅診療を再開したと振り返った。「平時より医薬品やカテーテル、医療材料、処置機具などを在庫していたし、(浸水しなかった)上層階の空き病室を診察室に転用できた。有床診だから早く復旧でき、災害拠点診療所の役割を果たせた」とし、有床診の評価を求めた。一方「診療報酬が低すぎる。今からやれと言われたらやらない」と経営の切実さを訴えた。(1/27MEDIFAXより)

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