【総合診療医】総合診療医の養成で医療費効率化を期待/財政審・井伊委員  PDF

【総合診療医】総合診療医の養成で医療費効率化を期待/財政審・井伊委員

 財務省の財政制度等審議会の委員を務める一橋大国際・公共政策大学院の井伊雅子教授は10月13日、地域医療振興協会(久史麿会長)が東京都内で開いた総合診療医に関するシンポジウムで講演し、在宅療養者などを支えるプライマリーケアの費用対効果を財務省に説明していかなければ、日本の医療の問題を根本的に解決できないとの考えを示した。

 井伊氏は「質向上とコスト削減のトレードオフは臓器別の専門医療では正しいが、プライマリーケアに関しては(質を高めながらコストを抑えることが)両立するのではないかと思っている」と述べた上で、広島大の森山美知子教授が糖尿病患者の管理について呉市のレセプトデータを分析した研究に言及。病院の専門医を比較群とし、一般開業医と看護師の共同管理を介入群として分析したところ、介入群で2年間の血清クレアチニンの上昇を有意に防ぎ、医療費も安かったという。井伊氏は「総合診療専門医として専門のトレーニングを受けた医師が増えると、こういった効果はさらに期待できる」と強調した。

 財政審で2014年度予算の概算要求について議論した会合にも触れ、「財務省が社会保障改革について一番強調したのは『後発医薬品の使用促進に具体的な進捗が見られるように取り組む』だけだった」と明かし、「世界一の高齢社会と借金を背負った国が、医療や介護に関してジェネリックの促進を第一に掲げていて、国民が納得する医療制度改革を推進できるのか。残念だった」と危機感を示した。「このまま財政のつじつま合わせだけに終始していては、日本の医療問題を根本的に解決できない」とも述べ、診療所を中心とした診療データの分析を進める必要があると訴えた。(10/16MEDIFAXより)

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