【中医協】診療所医師の負担増に警戒感も/主治医機能強化で中医協診療側  PDF

【中医協】診療所医師の負担増に警戒感も/主治医機能強化で中医協診療側

 中医協総会は10月9日、「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方」に沿って外来の機能分化・連携を促進するため、診療所や中小病院での主治医機能の強化について議論し、次期改定で具体化させる方向でまとまった。日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は「主治医機能の強化に関する論点は医療制度の大きな枠組みが見えない」と苦言を呈した上で「大きく一度に変えようとすると混乱が起きる。老人慢性疾患外来総合診療料(外総診)や後期高齢者診療料が廃止された経緯なども踏まえ、現実的に前に進めるようにしてもらいたい」と慎重論を唱えた。

 全日本病院協会の西澤寛俊委員も、主治医機能の強化が診療所の負担を強化することにならないよう十分留意して検討することが必要とした。

 嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)は、主治医機能の強化によって専門医に紹介せず囲い込みにつながるようなことがあってはならないとし、事務局の考え方をただした。厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓課長は「主治医が囲い込むようなことは考えていない。診療所の医師は、専門医として病院勤務後に開業しているケースが多いと認識している。専門領域は別として、専門領域以外の疾患であれば他の専門医に紹介することも重要な主治医機能と考えている」と回答した。

 安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「われわれは(1処方7種類以上の内服薬の投薬で減算される)7剤規制の廃止を求めている。複数疾患を持つ患者を管理することになっても7剤規制を継続しようとする方向は、主治医機能の強化と矛盾するのではないか」と問題提起した。宇都宮課長は「少なくとも複数の医師にかかっていれば、それぞれの医師から薬が処方され、重複することはあり得ると思う。それを一元的に管理すれば重複する薬は減るだろう」とし、保険薬局はもとより医師としても気を配り、無駄な重複投薬を防ぐことが重要とした。

 一方、支払い側の矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)は、厚労省が提案した主治医機能の強化案について「是認したい」と述べた。その上で「医薬分業は止めない方向で進めてもらいたい。健康管理や介護保険については当然やっているべき機能で、これを取り出して評価ということには疑問を感じる」と発言した。(10/10MEDIFAXより)

ページの先頭へ