【諮問会議】民間議員が「予算の全体像」提示/諮問会議が再開  PDF

【諮問会議】民間議員が「予算の全体像」提示/諮問会議 が再開

 経済財政諮問会議は7月30日、会合を開き、民間議員が「予算の全体像について」と題する意見書を提出した。概算要求基準や中期財政計画を策定する前に考え方を示したもの。次回会合では「2014年度予算の全体像」を取りまとめるほか、甘利明経済再生(一体改革)担当相が「中期財政計画の骨子」を、麻生太郎財務相が「概算要求基準の考え方」を提示する。政府は8月上旬にも中期財政計画と概算要求基準を策定する。

 民間議員は14年度予算について「デフレ脱却と財政健全化に向けた第一歩」と位置付け、その上で「社会保障も非社会保障も聖域とせず大胆に見直し、財政健全化目標と整合的な予算にすべき」と提言。各省庁の予算要求についても、原則的に定量的な成果目標と達成に向けた指標、関連政策を示して要求し、既存の施策を続ける場合にも5年以上経過したものは縮小・廃止を原則とすべきだと意見具申した。

 社会保障分野の14年度予算を編成するに当たっては、社会保障制度改革国民会議の議論や時間軸を踏まえつつ、改革メニューと制度改正の流れを早急に整理すべきと指摘。具体的な取り組み事項として▽後発医薬品の薬価の見直しと使用促進▽重複・頻回受診の是正をはじめとする医療費適正化▽医療・介護情報の統合的な全国システム化▽70−74歳の医療費自己負担2割への引き上げは新たに70歳に到達した人から順次進める―などを挙げた。

 また、秋の諮問会議で各分野の歳出の重点化・効率化を議論し、経済や税収動向を見極めた上で「予算編成の基本方針」を取りまとめるべきと指摘。社会保障制度改革の重点化・効率化を16年度以降に本格実施するため、13年度中に工程表を作るよう求めた。

 民間議員は財政健全化目標についても言及。13年度の国・地方のプライマリーバランス(PB)の赤字を対GDP比7%程度と見込んだ。アベノミクス効果で12年度の国税収入は当初見込みより1.3兆円増加したものの、財政再建の国際公約を達成するためには今後2年間で対GDP比3.75%程度の収支改善が必要だと試算。成長による自然増収を考慮しても、消費税引き上げの実現や国・地方を通じた歳出抑制が必要だとした。

 PB赤字を半減させる15年度までの取り組みとしては、骨太方針や日本再興戦略を踏まえ、総合科学技術会議の司令塔機能強化や日本版NIHの創設といった民間誘発効果が高い施策に予算を集中すべきと指摘。その一方で歳出規模の抑制も提言し、各省庁の概算要求に対しては既定経費に厳しいシーリングを設定するよう求めた。

 PB黒字化を目指す16−20年度は、5年間で対GDP比3.3%、年平均0.7%程度の収支改善が必要になる。社会保障費を含めた歳出の伸びを名目経済成長率以下に抑制することや、成長に伴う増収努力が不可欠だと指摘した。社会保障についても給付と負担の抜本的な見直しによる効率化を求めた。

 中期財政計画に関する提言では今後、国の一般会計歳出を社会保障、公共投資、その他の経費に分け、3分野の効率化の進み具合を検証すべきとしている。(7/31MEDIFAXより)

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