【医療保険】医療部会は「平均在院日数」に意見集中/改定基本方針の議論開始  PDF

【医療保険】医療部会は「平均在院日数」に意見集中/改 定基本方針の議論開始

 社会保障審議会・医療部会(部会長=永井良三・自治医科大学長)は8月2日、医療保険部会に続いて2014年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論を開始した。委員からは、社会保障・税一体改革で「平均在院日数の減少等」によって国費を4400億円削減する試算が示されていることに関連し、平均在院日数の在り方に意見が集中した。急性期治療後の転院先に選択肢が少ないとの指摘や、早期退院・転院の受け皿整備が不十分なため、患者・国民の不安・不理解が解消されていないとの意見もあった。

 白鳥敬子委員(東京女子医科大病院長)は、急性期後の受け皿整備が進まない理由は診療報酬が低いためではないかとの見方を示し「診療報酬で合併症の数や高齢者ということを評価項目として付け加えることで、亜急性期であっても十分な診療報酬が得られるようになれば、リハビリテーションなどを含めたトータルケアができる病院に移動してもらえるのではないか」と述べた。

●退院時に患者は不満抱えている
 中川俊男委員(日本医師会副会長)は「中医協でもそうだが、平均在院日数の短縮が良いことのように進められている」とした上で「日医は限界にあると言っている。これ以上(単純に)進めると現場では冷たい医療といわれる」と慎重な検討を求めた。今村聡委員(日医副会長)も「財政的な動きがあるとしても、本当に国民がそのことを理解しているか。退院・転院のとき皆さん不満を持っている」と述べた。

 相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は、医療の進歩に伴い短縮できる部分は短くしていくべきとした上で「同じ手術でも高齢の方は、そうそう帰れない。こういう方のポスト急性期や地域のケアをどうするのか」と述べ、入院早期から医療機関の多職種と患者・家族が転院・退院について話し合う仕組みづくりや、行き先整備を可能とする財源を求めた。

●「短縮」は患者の安心が前提
 高智英太郎委員(健保連理事)は「患者の重症度を評価するとともに、急性期病床の平均在院日数の短縮化に結び付けていくことが肝要」とし「その際、受け皿整備について別途考慮することや、ハレーションを最小限に食い止めるなどの工夫が求められる」と述べた。

 藤本晴枝委員(NPO法人地域医療を育てる会理事長)や山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)らも、患者が安心できる在宅医療や急性期後の受け皿整備が平均在院日数短縮の前提になると指摘した。(8/5MEDIFAXより)

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