【事故調】医療事故調、秋の法案提出も視野/厚労省、取りまとめへ前進  PDF

【事故調】医療事故調、秋の法案提出も視野/厚労省、取りまとめへ前進

 厚生労働省は4月18日の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(座長=山本和彦・一橋大大学院教授)に、これまでの議論を踏まえ「院内調査の在り方」など論点ごとに具体案を提示した。これを“たたき台”に議論した結果、多くの部分でおおむね意見が一致。院内調査の手順については各医療機関が参考にできるガイドラインを策定することを決めた。厚労省医政局総務課の吉岡てつを課長は、予期しない診療関連死を調査する全国規模の体制構築に向け、次回の会合で制度の骨格を示す方針を明らかにした。会合後、記者団に対し「次回取りまとまるとよいと考えている」と述べた。次回は5月29日の予定。

 吉岡課長は会合の中で、医療提供体制を見直すため医療法などの関連法を一括で改正する法案を検討しており、提出時期は秋の臨時国会を想定していると説明。医療事故調の制度化についても意見がまとまれば一括法案に盛り込む方針を示した。

●「まずはスタートしなければ」
 会合では、医療側の委員からも患者・家族側の委員からも、全国規模の制度を早く動かすべきとの意見が上がった。全日本病院協会常任理事でもある飯田修平構成員(練馬総合病院長)は「基本的に全日病としては(厚労省が示した)原案に賛成」とした上で、「まずはスタートしなければならない」と強調した。山口育子構成員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、同検討部会で堂々巡りの議論が繰り返されている面があると指摘し「(制度を)始めてみないと見えないことが結構たくさんある」と述べた。

 調査の流れについては、医療機関が予期しない診療関連死全件を第三者機関に届け出た上で、院内調査を実施することで一致。遺族側の希望があれば、院内調査は実施せずに第三者機関の調査を求めることも例外的に可能とする。詳細は次回議論する。

 院内調査は、外部の医療専門家などの支援を受けながら実施することが基本。専門家の範囲はさらに、議論する。調査費用は原則、国の支援と医療機関側の負担とした。

 医療側の委員からは、院内調査で実施する解剖や死亡時画像診断(Ai)について診療報酬での支払いを検討するよう求める意見が上がった。これに対し吉岡課長は「難しい」との見方を示し、解剖は医療安全対策加算での対応を検討し、Aiについては死因究明体制の充実に向けて確保している予算の拡充を検討するとした。(4/19MEDIFAXより)

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