【TPP】TPP交渉容認も、皆保険は死活的利益/自民決議、首相に提出へ  PDF

【TPP】TPP交渉容認も、皆保険は死活的利益/自民決議、首相に提出へ

 環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、自民党のTPP対策委員会(西川公也委員長)は3月13日、交渉参加に関する決議を採択した。「国民の間にさまざまな不安の声が存在している」と指摘する一方、「国家百年の計に基づく大きな決断をしていただきたい」として事実上、安倍晋三首相の交渉参加表明を容認した。交渉参加を判断した場合は国民皆保険制度などの「聖域」を最優先で確保し、不可能なら脱退も辞さない覚悟を求めた。決議文は14日、安倍首相に提出する。

●ISD条項に不安ありと指摘
 決議は国民が皆保険制度への悪影響や、国家の主権を脅かすような「国家と投資家の紛争解決条項」(ISD条項)が導入される可能性に不安を感じていると指摘し、党外交・経済連携調査会が国民皆保険や公的薬価制度を「守り抜くべき国益」とした2月27日の決議を順守するよう要請した。

 一方、交渉参加しなければアジア・太平洋地域の成長力を取り込めないとする議論も出たとし、「わが国がTPP交渉参加の是非を判断することは容易ではない。安倍総理におかれては、岐路に立つ日本の経済・社会が今後進むべき方向を選択するという高い見地から判断願いたい」「国家百年の計に基づく大きな決断をしていただきたい」と安倍首相の判断を尊重する表現を盛り込んだ。交渉参加で最優先させる「聖域」に国民皆保険を掲げ「死活的利益」として死守するよう求めた。

●混合診療の全面解禁認めない/福岡厚労部会長
 会合では、医療分野の課題を議論する同対策委「第3グループ」で主査を務める福岡資麿・党厚生労働部会長が、検討内容を報告した。福岡氏は国民皆保険の堅持をはじめ、混合診療の全面解禁や営利企業の医療参入を認めないよう求めた。医薬品関連では「医薬品ひいては医療費全体の高騰を招くような薬価制度の改悪を受け入れることがないようにすること」と要望し、医師や看護師らの資格の相互承認でも慎重な対応を求めた。報告内容は決議とともに安倍首相に提出する。

 石破茂幹事長は同日の議論で「総理の判断に当たり政府として一本の試算を出させるようにする」と述べ、交渉参加の表明に合わせ、TPPに参加した際の国内経済への影響などに関する統一した試算をまとめるよう政府に求める考えを示した。(3/14MEDIFAXより)

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