【税制】消費税「医療機関と患者の負担に配慮」/与党税制改正大綱を決定  PDF

【税制】消費税「医療機関と患者の負担に配慮」/与党税制改正大綱を決定

 自民・公明両党は1月24日、2013年度与党税制改正大綱を決めた。医療の消費課税問題について、医療機関の仕入れ税額の負担や患者負担に十分配慮して適切な措置を取れるよう、医療保険制度での手当ての在り方と併せて検討すると記載した。医療機関と患者の負担に配慮するとされたことは「課税化、ゼロ税率」に向けて一歩前進といえそうだ。

 消費税率の10%引き上げ時に軽減税率の導入を目指すことも明記した。与党税制協議会に「軽減税率制度調査委員会」を設置し、14年度大綱の決定までに答えを出す。

 医療と課税の問題は大綱の「検討事項」に記載し、「医療に係る税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ適切な措置を講ずることができるよう、医療保険制度における手当のあり方の検討等と併せて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る」とした。

 医療機関の消費税負担を診療報酬で補填する現行の仕組みについては、窓口負担や保険料にどの程度の消費税が含まれているのか不透明だと国会で議論されたことがある。「透明性を確保しつつ」との文言は、こうした指摘を考慮したものと捉えることもできそうだ。

 医療の課税化は今後、自民党の税制調査会や自公民の3党協議で議論する。軽減税率制度調査委員会の設置も決まり、議論の舞台は整いつつある。

 ただ、課題は財源問題だ。民主党政権下の12年7月、当時の安住淳財務相は参院の一体改革特別委員会で、医療機関の消費税負担を解消した場合、「その多額の減収分を誰が賄うのか」「適切な、ある程度の負担だけはぜひお願いしたい」と答弁した。新設する軽減税率制度調査委員会は「財源確保」も検討事項。自民党の野田毅税調会長は1月23日、今後の軽減税率の検討について「対象範囲により(財源の)数字が動く。どのくらい税収が減るのかも含めて財源を検討せねばならない」と記者団に語った。

●四段階制は一部変更
 13年度税制改正大綱には「診療報酬の所得計算特例措置」(いわゆる四段階制)が一部変更することも明記した。診療報酬が5000万円以下でも、自由診療収入を含めた医業収入が7000万円を超えるケースは適用対象から除外される。診療報酬の事業税非課税措置は継続されるが、「税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する」と検討事項に書き込まれた。

 研究開発税制(総額型)は、2年間の時限措置として税額控除限度額を20%から30%に引き上げる。(1/25MEDIFAXより)

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