【新型フル】新型フル対策、政府有識者会議が中間まとめ  PDF

【新型フル】新型フル対策、政府有識者会議が中間まとめ

 政府の新型インフルエンザ等対策有識者会議(会長=尾身茂・年金・健康保険福祉施設整理機構理事長)は1月29日、指定公共機関や特定接種の対象者の基準を盛り込んだ中間取りまとめ案をまとめた。新型インフルエンザが発生し政府対策本部長(内閣総理大臣)が緊急事態宣言を発した際に業務継続を義務付ける「指定公共機関」は、医療機関を中心に国や都道府県が指定することになる。今後、政府は取りまとめ案に沿って、流行時の医療体制の確保などの行動計画やガイドラインのほか、新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行令を策定する。政府は2014年4月の施行を目指し、13年夏までに行動計画を作成する見通し。

 日本医師会の常任理事である小森貴委員は「地域の医師の力が最大限発揮できるよう、行動計画やガイドライン策定についても積極的に携わっていきたい」と話した。

 国が指定する指定公共機関は、業務計画の策定などについて国と調整を行う。鉄道や航空の公共交通機関、電気・ガスなどのインフラ事業者のほか、日本赤十字社や国立病院機構、医療関係者による全国的な団体が含まれる。個別の医療機関については、都道府県知事が指定する「指定(地方)公共機関」の対象となる。

 医療や経済活動を維持するため、新型インフル発生後に国民に先駆けて予防接種を開始する「特定接種」の対象事業者は、医療分野のほか指定公共機関を中心に選定する。対象事業者は、発生時から終息まで継続できる体制や計画を整えている必要があり、事業継続計画の作成も義務付けられる。具体的な対象者は、新型インフルに対応する医療に従事する医師や看護師、薬剤師、窓口事務職員などに加え、介護・福祉サービスに関わる介護職員、保健師・助産師、保育士、理学療法士や施設長などを想定している。

 住民に対する接種については、ワクチンの供給単位は基本的に10mLバイアルなどの単位とし原則100人以上の集団での接種とする。妊婦や在宅医療を受ける高齢者などに対しては少量のワクチンで個別に接種する。医学的にハイリスクを負った患者など、集団接種が難しい場合は訪問による接種を考慮する。

●住民接種の優先順位案も
 中間取りまとめ案では、住民を?呼吸器疾患や心臓血管系疾患などを有する医学的ハイリスク者?小児?成人・若年者?高齢者─の4グループに分類し、接種の優先順位を付ける考えも示した。新型インフルの発生後に重症者が多い年代を把握し、重症化や死亡を抑えることに重点を置くのか、国の将来を守ることに重点を置くのか、もしくは両者を含めるのかについて方向性を決めた上で順番を決めるという。

 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄に関する行動計画案では、備蓄割合の高いタミフルへの耐性を示す株が検出される可能性があることから、新たな薬剤を含めた他の種類備蓄割合を増やすことも視野に入れている。(1/30MEDIFAXより)

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