【中医協】「総合診療医」の機能で見解に相違/中医協総会  PDF

【中医協】「総合診療医」の機能で見解に相違/中医協総会

 1月23日の中医協総会では、外来医療の機能分化についてフリートーク形式で出席委員が意見を示し、診療側と支払い側の考えの違いが浮き彫りになった。

 中医協事務局の厚生労働省保険局医療課は会合で、外来医療の大まかなイメージを示し、アクセス性に優れた診療所や中小病院の外来機能については▽複数の慢性疾患を持つ患者への対応▽必要時に連絡が取れて適切な指示が出せる体制の確保▽専門医や介護保険施設などへの適切な紹介―などを挙げた。一方、地域の拠点となり専門医療を担う大病院では、入院医療の強化や勤務医の負担軽減の観点から、外来機能のイメージとして▽専門外来の確保▽一般外来の縮小―を掲げた。

 診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、かかりつけ医機能を持った診療所や有床診療所、中小病院の外来診療については機能の充実を訴え、特定機能病院などの大病院の外来医療については見直しが必要との意見を述べ、厚労省が示した方向性に一定の理解を示した。支払い側も白川修二委員(健保連専務理事)が厚労省の示した方向性について理解を示した。

 会合では事務局が、70歳以上の高齢者では8割以上がかかりつけ医を持つこと(日医総研調査)や、病気になった時に相談し診察を受ける医師を持っている人は2割強であること(健保連調査)などを説明した。国民の多くがかかりつけ医を必要としている点については診療側・支払い側の認識はおおむね一致しているものの、関連施策に対する見解は分かれた。

 2008年度診療報酬改定で新設されながらも間もなく廃止となった「後期高齢者診療料」については、鈴木委員が複数の疾患を抱える高齢者の診療を1人の医師に限定しようとして失敗したと指摘し、「失敗や教訓を踏まえて、現状に合った(外来医療の)形が必要だ」と述べた。これに対し白川委員は、複数科を受診することが多い高齢者に対するかかりつけ医機能を評価した仕組みだったとの認識を示し「考え方は間違っていない」と評価した。「本元からもう一度議論すべきテーマだ」と中医協での議論を促した。

 新たな専門医制度をめぐる議論で注目を集める「総合診療医」についても、鈴木委員は健保連調査を踏まえ、どんな病気でも診てもらえる医師を持つ人は2割強しかいないとして「(1人の医師に)専任するのはうまくいかない」と指摘した。白川委員は総合診療医について「大きなテーマになる」とし、「13年度改定のタイミングに間に合うのであれば、総合診療医の位置付けの診療所についてどう評価するかを包括的に考える必要がある」と前向きな姿勢を示した。

 ただ、事務局は同省医政局で検討を進めている新たな専門医制度は臨床研修制度の見直しを伴うこともあり、総合診療医が制度化されたとしても17年度以降になると説明し、次期改定での評価は間に合わないとの見解を示した。(1/24MEDIFAXより)

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