月100時間の「時間外」勤務医3人に1人/栃木県医、就労実態調査

月100時間の「時間外」勤務医3人に1人/栃木県医、就労実態調査

 常勤勤務医の3人に1人が過労死に認定される月100時間の時間外労働を行っている。病院勤務医の過酷な就労の実態が、栃木県医師会が行った調査結果から浮き彫りとなった。「休日は週1回または1回未満」との回答も4分の1を占めており、栃木県医は「勤務医の人数を増やさない限り、問題の解決策は見当たらない」と指摘している。調査結果をまとめた報告書は、日本医師会や地元選出の国会議員、栃木県知事らに送付し、現状に対する理解と労働環境改善に向けた協力を訴えている。

 調査は、栃木県医の勤務医部会内に設置された特別委員会が実施した。2007年7−8月に県内の115病院へ計4070部(うち常勤医向けは2500部) の調査票を配布し、1445部(35.5%) を回収した。このうち常勤医からは1306部(52.2%) の回答を得た。

 調査結果によると常勤医の週平均実労働時間は、「48−59時間」が20.9%、「59−64時間」が17.1%で、「64−79時間」が最も多く22.9%だった。これに「80時間超」と回答した10.5%を加えると、週実労働時間が「64時間以上」は33.4%だった。1週間で64時間以上の実労働は、1カ月の「時間外労働」に換算すると約100時間となる。常勤医の3人に1人が月100時間の時間外労働をしている計算だ。

 長時間労働の要因(複数回答) では「患者数、診療内容の増加」が58.3%と最多、次いで「会議・書類作成など診療外業務」の42.3%、「自己研修、研究、教育」の24.9%などとなっており、特別委員会は、医師数の増加や患者の大病院志向の是正、病診連携による1次救急からの解放、医師以外でもできる仕事からの解放が望まれるとしている。

 長時間勤務による悪影響としては、「肉体的、精神的な健康不安」が78.3%と最多で、「医療ミスを誘因」の63.9%、「家族関係の崩壊」の24.4%、「医師患者関係の悪化」の8.1%が続いた。超過勤務に対する処遇は「ない」との回答が64.5%を占め、処遇がある場合でも「代休」を取得できるのは3.7%にとどまっている。

 さらに、当直時の仮眠が「十分とれる」はわずか11.1%だったにもかかわらず、当直明けの勤務体制について「通常勤務」との回答が93.3%にも上っており、特別委員会は「労働基準法は医療現場にはないに等しい現状」と指摘している。

 栃木県医は、産科、小児科、救急医療など診療科に焦点を当てた現状分析や、同様の調査を数年後に行い、経時変動を把握することなどを検討するとしている。(7/2MEDIFAXより)

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