稀少疾患の検査、外部委託でも先進医療に/専門家会議でほぼ合意
厚生労働省の先進医療専門家会議が7月2日に開かれ、先進医療の対象となる稀少疾患の検査の実施方法について議論し、外部医療機関への依頼を認めることでほぼ合意した。中医協でも認められれば、検査を外部に依頼する場合でも先進医療の届け出医療機関となる道が開かれることになる。次回会議で具体的な条件について最終的な結論を得る見通し。
稀少疾患の生化学的検査や遺伝子検査などについて、先進医療として自ら実施できる検査実施医療機関は国内に1−数カ所にとどまり、これらの稀少疾患を診療するほかの医療機関の多くは、検査については検査実施医療機関に依頼せざるを得ない状況となっている。その際の検査費用は患者から徴収せず検査実施医療機関が負担しているのが実態であり、従来からこうした状況が続くことには限界があるとの指摘があった。検査実施医療機関は先進医療である稀少疾患の検査について患者から費用を徴収することはできるものの、その場合、患者は検査実施医療機関に直接出向かなければならず、利便性を欠くことになる。
厚労省はこうした背景を踏まえ、先進医療の対象となる稀少疾患の検査について、一定の条件の下に、ほかの医療機関への依頼を認めることを提案。検査依頼医療機関には、(1)該当する先進医療の施設基準を検査以外は満たしていること、(2)該当する先進医療を実施する診療科で、その診療科を専門とする医師を配置していること、(3)該当する先進医療の施設基準のほか、遺伝カウンセリング実施体制など、実施に当たって必要な体制を有すること、(4)検体の管理・輸送方法について検査実施医療機関と文書で確認すること─などの届け出を求め、通常よりも簡便に先進医療の届け出医療機関として認める方針を打ち出した。
このほかの条件では、(1)対象は稀少疾患に限る、(2)検査実施医療機関は該当する稀少疾患に対する先進医療の届け出を行っている医療機関に限る、(3)費用は検査依頼医療機関が徴収して検査実施医療機関と合議して分担する、(4)検査実施医療機関は依頼を受けた検査についても、問題が生じた際の報告など適切な対応を行う―などを提示した。厚労省は、これらにより患者からの費用徴収が可能になるとしたほか、検査実施医療機関にとっては検査件数の増加でデータの精度向上につながるメリットもあると指摘する。(7/3MEDIFAXより)