医師養成数削減の方針を転換/政府、閣議決定見直し了承

医師養成数削減の方針を転換/政府、閣議決定見直し了承

 福田康夫首相は6月17日の閣議後、舛添要一厚生労働相と会談し、医学部定員数の削減をうたった1997年の閣議決定の見直しを了承した。舛添厚労相が閣議後の会見で明らかにした。舛添厚労相は「安心と希望の医療確保ビジョン会議」などで医師増員に強い意欲を示していた。会見で舛添厚労相は「現場を見て国民のための政策を堂々と主張する」と、医師養成数増が現場からの要請であることを強調した。

 97年6月に政府が閣議決定した「財政構造改革の推進について」では、「医学部の整理・合理化も視野に入れつつ引き続き医学部定員の削減に取り組む」との内容を盛り込んでいる。近年医師不足が顕著になったことを踏まえ、政府・与党は2007年5月に打ち出した「緊急医師確保対策」で、全都道府県で医師養成数の暫定的な増加を容認しているが、閣議決定との整合性を図るため、将来の定員数を減らした分を現状の定員増に割り当てる形で対応しているのが現状だ。

 「医療確保ビジョン会議」で医師増員の方針を打ち出した舛添厚労相に対しても、閣議決定が「呪縛」となって実効的な医師確保に結びつかないのではないかと指摘する意見が出ていた。

 会見で舛添厚労相は、増員する具体的な医師数などについては未定としたが、「国民の命を守るため、医療の役割は非常に大きい。その方向を重視して政策を実行していく点について、総理と意見が一致した」と述べた。財源については「命を守るための財源をきちんと確保するという方針が貫けるように、最後まで努力したい」と述べ、策定作業が進む「骨太の方針08」にも盛り込む考えを示した。97年の閣議決定を撤回するための新たな閣議決定が必要かどうかについては、「全部決まった後でもいいし、なくても動けばいい」と述べ、形式にこだわらない姿勢を示した。(6/18MEDIFAXより)

ページの先頭へ