介護療養病床の廃止方針「修正あり得る」
/療養病床議連、首相へ提言書
自民党の国会議員有志でつくる「療養病床問題を考える国会議員の会」は7月8日、介護療養型老人保健施設の見直しなどを求める提言書を国会議員142人の署名とともに福田康夫首相らに提出したと発表した。提言書では、療養病床削減に当たって適切な受け皿施設が整備されない場合、2011年度末の介護療養型医療施設廃止の撤回を決意せざるを得ないとした。中山太郎会長は同日の会見で介護療養病床の廃止方針について、「法律は通っており政府として撤回はしづらい。ただ、修正を図ることはあり得る」との見方を示した。
同議連が6月11日にまとめた「介護療養型病床の廃止・転換に関する提言」では、地域の実情に見合った療養病床数の確保が必要としたほか、厚生労働省が提示した受け皿施設は「サービス提供者や利用者の切実な実態を反映していない」と指摘。介護療養型老健の医師の24時間配置や看護・介護職員の現行水準以上の確保などを求めた。
同議連は142人の署名を、福田首相や舛添要一厚労相、谷垣禎一政調会長、田村憲久介護委員長らに提出。今後は自民党厚労部会に提案し、党の方針として統一を図るよう求めていく。臨時国会の開始と合わせて、議連も再開するとしている。
代表代行を務める清水鴻一郎衆院議員は、療養病床再編の経緯について「介護保険制度が創設されてわずか5年で突然、介護療養病床全廃の方針が出てきた。当時、厚労部会も反対の意見が多かったが、財政再建の面から押し切られてしまった」と説明した。
さらに「介護療養病床の廃止は法律で決まっている以上、現在の療養病床患者に見合った受け皿施設を整備しなければならない」と訴えた。2200億円の社会保障費の削減との関係については、「マイナス2200億円のシーリングに、療養病床削減は含まれていない」との見方を示した。
提言書では、介護療養型老健の人員配置について、医師を24時間配置し、看護職員は6対1を常設基準にすべきと要望。介護職員配置は4対1を基準とし、ユニット型など「より多くの人手を要する施設」は3対1以上の配置基準を創設するよう求めた。また、リハビリテーション職や社会福祉士など医療相談職は、それぞれ利用者50人に対し1人の配置を基本とすることが必要としている。(7/9MEDIFAXより)