レセプト転記ミス解消を期待/社会保障カード作業班の中間報告

レセプト転記ミス解消を期待/社会保障カード作業班の中間報告

 厚生労働省の「社会保障カード(仮称) の在り方に関する検討会」が7月10日開かれ、同検討会作業班がまとめた中間報告を基に新たな社会保障カードの利用方法について議論した。同日示された作業班の中間報告は、医療機関でのカード利用の具体例として、レセプトへの医療保険資格情報の自動転記を提示。被保険者情報のレセプトへの転記ミスによる返戻レセプトは全体の約4割を占めているのが実態で、この問題の抜本的な解消につながることが期待されている。

 同検討会は2008年1月にまとめた報告書で、新たな社会保障カード導入に向けた基本的構想を提示した。その後、同検討会が設けた作業班は、(1)カードをどのように発行・交付するか、(2)発行・交付されたカードをどのように利用するか─について検討し、それぞれ中間報告をまとめた。同検討会は前回、中間報告を基にカードの発行・交付方法について議論し、引き続き今回はカードの利用方法について議論した。

 今回の中間報告で作業班は、前提条件として(1)カードのICチップには医療保険の資格情報そのものや年金記録などの情報そのものは収録されない、(2)カードには医療機関などでの取り違えが起こらないように氏名、生年月日を印字する、(3)オンラインによる保険資格の確認は医療機関と各保険者間を中継する機能を持つデータベースにアクセスすることで行う、(4)本人を特定する鍵となる情報はセキュリティーに優れたICチップ内にのみ収録する─の4点を仮定した。その上で、医療保険資格情報のレセプトへの自動転記を医療機関でのカード利用の具体例として紹介した。

 同検討会はすでに1月の報告書で、社会保障カード導入により「レセプトへの転記ミスによる医療費の過誤調整事務がなくなる」と指摘していた。年間約900万件におよぶ返戻レセプトのうち、約4割が医療機関・薬局における被保険者情報の転記ミスによるものとされている。自動転記により、これらの転記ミスはほぼ解消することが期待できる。ただ、作業班は自動転記の仕組みを機能させるため、医療機関の窓口業務に支障を来さない速度でレセプト転記情報がダウンロードできることや、レセプト転記情報のフォーマットに関するルールを設定することを求めている。さらに、システム改修にかかる費用が課題になるとも指摘している。

 このほか中間報告は、オンラインによる医療保険資格の確認もカード利用の具体例として取り上げた。同検討会は次回、作業班の中間報告に基づく議論を整理し、08年夏までに予定していた中間まとめにつなげる方針。(7/11MEDIFAXより)

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