職員の処遇改善できる経営、入院時の食事療養費などの引き上げ求め「病院が抱える課題」を国に緊急要請  PDF

 協会は12月2日、京都府内の病院を対象に、病院が抱える諸課題(処遇改善・経費、入院時食事療養・生活療養費、看護要員の確保、医師の働き方改革、高齢者救急)の実態を明らかにするべく実施した「さまざまな課題・実態アンケート」結果を基に、「病院が抱えるさまざまな課題に係る緊急要請」を取りまとめ、岸田文雄首相、武見敬三厚生労働相らに提出した。
 調査結果から▽処遇改善のみならず経営状況の改善のためにも、入院料、初・再診料等の基本診療料の引き上げ実施が速やかに必要であること▽長年据え置かれている入院時食事療養費・生活療養費も同様、速やかな引き上げ実施が必要であること▽看護職員・看護補助者の人材確保は、コロナ禍を経てさらに困難な状況となっていること▽「医師の働き方改革」への対応による地域医療体制の縮小・制限が危惧されること▽看護職員・看護補助者とともに、医師の人材確保についても養成増など抜本的対策が必要なこと▽高齢者の尿路感染症や誤嚥性肺炎、脱水に係る救急医療を地域包括ケア病棟への搬送で対応することは、実際の現場では無理があること▽「重症度、医療・看護必要度」の「B項目」(ADLの状況)は、ケアの内容に影響するため外すべきではないこと―が見えてきた。
 本要請書では、 将来の担い手確保も視野に、病院の規模や職種にかかわらず処遇改善が行えるよう、また処遇改善を行っても経営が十分成り立つよう、できるだけ速やかに、入院料や初・再診料などの基本的な診療報酬・介護報酬を引き上げること 約30年間実質的な引き上げが行われていない上、食材料費や光熱水費、業務委託費などの高騰が追い打ちをかける入院時食事療養費・生活療養費を、標準負担額を実質引き上げることなく、できるだけ速やかに引き上げること コロナ禍を経てますます確保が困難となっている看護職員・看護補助者について、担い手や志望者の数を増やせるよう、大胆な処遇改善が行える施策を打ち出すこと 地域医療提供体制の縮小や、救急受入れ体制の制限につながることなく、医師の長時間労働を改善するため、医師養成数を増やすなどの抜本策を打ち出すこと 一刻を争う救急搬送については、年齢、要介護認定の有無、搬送先の入院料、未確定の診断名で線引きすることなく、人命を最優先に搬送先を確保できるようにすること(「重症度、医療・看護必要度」の指標からADLに係る項目を除外しないこと)―の5項目を要請した。
 調査に協力いただいた府内の病院にはこの場を借りてお礼申し上げたい。調査結果の詳細と要請書は協会ホームページに掲載。
https://wp.me/pcX6Kq-bKC

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