乗り鉄ドクの趣楽悠遊 vol.7 村上 匡孝(綴喜)  PDF

志(し)国(こく)土佐 時代(とき)の夜明けのものがたり(JR四国)

 「志国土佐時代の夜明けのものがたり」は、JR四国が高知県・土佐の国に投入した観光列車です。窪川駅と高知駅の間を土讃線経由で運行する臨時特別急行で、キハ185系特急型気動車を改造したD&S列車です。インテリアデザインのテーマは「文明開化ロマンティシズム」(写真1)。文明開化期の蒸気船(黒船)をイメージした1号車「KUROFUNE」(写真2)と、宇宙船をイメージした2号車「SORAFUNE」(写真3)の二両編成で、明治維新で新しい時代を切り開いた土佐の志士たちを想起させる雰囲気を醸し出します。
 車内でいただく料理は「土佐の食材を利用した創作料理~皿鉢さわち風」。セレクト洗練された美食の美味、アテンダントは選抜された美女美人、サーブされるおもてなしの美学、精選されて提供される土佐の美酒。私にとっては極上の飲・食・乗、ロマンティシズムの溢れる旅となりました。
 沿線には幕末の足跡が残っており、坂本龍馬が脱藩の道へと急いだ道のりをなぞるように列車は走ります。高知県は季節を通じて海の幸も山の幸もどちらも豊かな食材の宝庫です。その土佐の食材を使用した創作料理に舌鼓を打ちながら、緑豊かな山々の車窓風景を愛でながら、太平洋の海原や水平線も楽しみます。
 列車は中土佐町の土佐久礼駅でしばらく停車します。ここには有名な市場、久礼大正町市場があります。市場の店が駅のホームに出張して来ていて、威勢よく海産物を直売しています。駅の外には大きな造り酒屋があってワクワクします。その先の須崎駅に着くと、停車中のホームで地元の方のおもてなしやパフォーマンスがあり、盛り上がります。列車のコンセプトである幕末志士のエネルギーやロマンティシズムは心地よい酔いに昇華されて、カオスとなって立ち去ったようです。目と耳と舌で、しっかり土佐を味わった汽車旅だったとさ(写真4)。
 ちなみに今年のNHKの朝の連続テレビ小説で「らんまん」が放映されました。主人公の牧野富太郎博士の出身地・佐川町やドラマの舞台を巡るツアーも用意されているようです。高知から東の土佐くろしお鉄道に乗り入れて太平洋の雄大な景観を楽しむコースもあるようです。
 今回の推し地酒。高知の酒造好適米「吟の夢」と四万十川の伏流水にて土佐杜氏が醸した名酒、純米吟醸 久礼(西岡酒造、中土佐町、高知)
 (志国土佐 時代の夜明けのものがたり 2020年8月乗)

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