医界寸評  PDF

 日本医師会は9月6日、懸案の控除対象外消費税問題について、診療所は非課税のまま診療報酬上の補填を継続、病院は軽減税率による課税取引に改めるという二本立ての要望を出した。本紙3155号の本欄の通り、現状では一理ある要望ともいえる▼診療所は現状のままだが、病院は課税取引になると大きく変わるので少し補足してみる。病院における軽減税率による課税取引の場合、診療報酬に上乗せした補填分を引き剥がすことになる。現在、消費税分としての診療報酬への上乗せは診療報酬本体に1・47%、薬価等に2・31%(医療費見合い)、合計で3・78%が補填されている。非課税といいながら薬価等には消費税10%が含まれているので、本体部分を1・47%引き下げ、薬価等は10%引き下げる。税収を中立にするには、本体に1・47%、薬価等に10%の消費税をかけて請求する。国と地方の消費税収はあまり変わらず、患者・保険者負担は変わらない▼現状維持とはいえ、飲食料品が8%であるのに、薬価に10%の標準課税をするのはいかがなものか。診療所の点数は従来通りで、病院の方が下がると、昔の甲表、乙表のように一物二価になるのも問題である。診療所は内税で、病院は外税ともいえるが、患者には分かりにくい。これを国や中央社会保険医療協議会や国民が認めるだろうか。(彦)

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