私の旅行記 リノベ―トした国鉄車両を巡る、こだわりの鉄旅 村上 匡孝(綴喜)  PDF

 キハ47系「瀬戸内マリンビュー」(写真1、2019年12月に引退)を観に行ってから、昭和の四国への出発点、宇高連絡船の宇野まで、岡山から観光列車La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボア)で向かいます。フランス語で“旅行鞄”という列車名。窓枠をカバンのように見立てて旅情を誘う絵柄や言葉の数々がデザインされています(写真2・3)。リノベートされた213系電車は専用ホームから出発の鐘に見送られます。スイーツを食べながら束の間のヨーロピアントリップに揺られれば、そこは終点のUNO。欧風にリノベートされた小粋な舎屋の宇野駅です(写真4)。
 周辺の散歩が楽しい。廃材や護美で創られた現代アートの「チヌ」と「小チヌ」(写真5)のモニュメント。芸術家の発想が青空と瀬戸の水面のブルーに映えています。子チヌの中はなんとすべり台。魚の口からお尻に向かってゴミの着ぐるみの中を滑ってゆくのです。
 水色の115系ラッピング電車SETOUCHI TRAIN(写真6)で岡山に戻り、町に繰り出します。市内は路面電車が現役で活躍しています(写真7)。今、人気を博しているのは名物電車チャギントン(写真8)。観る鉄も楽しい。
 岡山駅では現役で活躍する旧・国鉄時代の懐かしい車輛に出会えます。早晩、引退、勇退する名機を自分に重ね合わせると、非常に感慨深いものがあります。かつて「新快速」で関西を謳歌した116系が赤穂線ホームに(写真9)。気動車のレジェンド、キハ47系が総社線(赤色車両)と津山線(クリーム色車両)に。伯備線には振り子電車381系の特急やくもが…。国鉄色とJR色との共演(写真10・11)が郷愁をそそります。(2019―2022年の鉄旅から)

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