乗り鉄ドクの趣楽悠遊 vol.3 村上 匡孝(綴喜) 伊予灘ものがたり いよいよ魅せる四国の観光列車(JR四国)  PDF

 鉄道マニア憧れの「伊予灘ものがたり」はJR四国の看板観光列車。初代の伊予灘ものがたりは改装したキロ47系気動車(先頭車)を前後背中合わせに二両連結した珍しい列車で、コンセプトは「大切な人と過ごす時間と空間」。この“予約が取れない”列車に、松山から伊予の小京都、大洲まで乗りました。
 1号車は「茜の章」、伊予灘の夕焼けをイメージする茜色に彩られた(写真1)和テイストの車内。2号車は「黄金の章」、愛媛の柑橘類と太陽をイメージする黄金色に彩られた(写真2)、モダンスタイルな車内。砥部焼の洗面鉢などメイドイン四国のグッズが内装に用いられ、落ち着きと贅沢なゆとり感が満載です。
 爽やかな朝、列車は8時半に松山駅を出て、地元の食材をふんだんに使った「旬彩モーニング」を食べながら、伊予灘(旧・予讃線)の海岸美を楽しみます。海側の窓に向いて横一列に並ぶカウンター席に着くと、テーブルにはアテンダント美女手製のイラスト車窓ガイド。車窓や観光を案内する美声に包まれ、和みながらゆっくりと列車は進みます。トンネルでショートカットする新線ができた今は、かつて特急しおかぜも走った旧予讃線が伊予灘ものがたりの絶景車窓で有名になりました。
 飲み物には、みかんの種類が異なるみかんジュース、伊予灘サンセットティー、伊予灘view tea、数種類のオリジナルカクテル、地ビールがドリンクリストに並んでいますが、(伊予の)地酒飲み比べセットが素晴らしい。大辛口(道後)、雪雀(北条)、山丹正宗(今治)、宮の舞(伊方)、梅錦(川之江)、初雪盃(砥部)。辛口から甘口までの美味酒六種盛です。
 舌が踊り脳が弾み始めたちょうど頃合いに、ホームが海に最も近いJR駅の下灘駅に到着します。ドラマ、ポスター、映画でよく登場する(瀬戸内)海の絶景駅で、乗客全員が降りてホームで歓待されます。ボランティアのおじさんのお話に耳を貸し、名物を売るおばさんと会話を楽しみ、写真を撮ったり、海を眺めたり、ゆっくりしているようで妙に忙しい。
 沿線から地域の多くの人々が(私にではなく伊予灘ものがたりに)手を振って下さるのも感動もの。応えているうちに瀬戸内海から肱川に、海から川へと景色は移り、伊予大洲に到着。レンタサイクルで城下町を散策しましたが、旧家をリノベートしたカフェで食べたかき氷の味が忘れられません。
 今回の推し地酒。
 吹毛剣(酒六酒造、内子町)。
 (伊予灘ものがたり初代のキロ47系 2020年8月乗)

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