開業医は治療時期を逃さず皮膚病変の正確な診断を 形成外科診療内容向上会・京都形成外科医会合同の会  PDF

 形成外科診療内容向上会と第70回京都形成外科医会合同の会が6月24日に保険医協会会議室で開催された。8年間会長を務めた鈴木形成外科・小児科院長の鈴木晴恵氏が退任、京都大学大学院医学研究科形成外科学の森本尚樹教授が新会長に着任するにあたり、今後この会を京都に二つある大学医学部の形成外科の医師たちの情報交換の場としてさらに活用していこうとの呼びかけで新入会者が増え、27人の参加があった。鈴木氏から「京都府下の形成外科診療の現状」と「京都市内で開業24年目の形成外科開業医の立場から」、京都府立医科大学形成外科の沼尻敏明教授と京都大学の森本尚樹教授からそれぞれの大学での取り組みについて講演いただいた。

レポート鈴木 晴恵(東山)

 開業医の役割の一つは治療時期を逃さないことです。苺状血管腫、単純性血管腫、真皮メラノーシスなどのアザや血管腫は治療開始時期が早ければ早いほど、変形を残さず短期間で完治する可能性が高いです。
 冨士森良輔先生から伝授していただいた乳幼児治療時の固定方法で、レーザー治療のみならず、副耳や母斑切除などの皮膚の小手術を寝返りを始める生後5カ月までの乳児に局所麻酔で行うことが可能です。
 開業医のもう一つの役割は皮膚病変の正確な診断です。アザや血管腫の治療方法として開発されたレーザー・光治療が、今はしみ・しわ・たるみなどの美容治療に安易に用いられていますが、当院でも他院でのレーザー治療で再発したしみが悪性黒色腫であったり、難治性潰瘍が外歯瘻であったという経験があります。表情じわの改善に用いられているボツリヌス菌外毒素注射は、30年以上前に斜視の治療目的で用いられていたものの応用です。フィラーは戦後の医療承認がない物質の美容目的の注入による深刻な被害の多発を経て、40年近く前に陥凹性瘢痕の治療目的に、京都大学を含め大学病院などでウシ由来コラーゲン製剤の治験が行われました。開業医は医療承認のない機器や製剤を自らの責任で比較的容易に使用できる立場にあるだけに、より慎重な対応が要求されます。
 講演後、私のライフワーク「人の健康と地球環境のためのプラントベースホールフードの食生活」として、植物性の食事で十分なタンパク質が摂れることを示す動画を見ていただきました。
 京都府立医科大学形成外科は京都第二赤十字病院形成外科の故・大島良夫先生の門下生であった前病院教授の西野健一氏と当時助手の沼尻敏明氏、東京大学形成外科で学んだ元講師の石田敏博氏の3人により2000年4月に創立されました。その後20年で専門医・学位取得者が育成され、現在は主に頭頸部再建・乳房再建・口唇裂口蓋裂・難治性潰瘍・あざのレーザー治療が行われています。中でも遊離皮弁再建の生着率や正確性の向上努力で成績は改善しています。最近はQOL向上のため乳房再建が脚光を浴び、インプラント手術や自家組織再建などが行われています。
 京都大学医学部附属病院の形成外科は、口唇口蓋裂、顔面先天異常、手足先天異常、手足の変形・拘縮・腫瘍、レーザー、先天性巨大色素性母斑、乳房再建、頭頸部再建、熱傷、皮膚再生、瘢痕ケロイド、顔面神経麻痺、リンパ浮腫、神経線維腫症、顔面骨折の専門外来で、臨床経験・エビデンスと基礎研究に基づいて行われています。手の先天異常、乳房再建、レーザーは患者数が着実に増加し、今後も特色ある外来を継続されます。

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