確実な医療提供と受診保障 物価高騰支援、コロナ対策、へき地診療所存続で 京都府へ要請  PDF

協会は京都府のこれまでの新型コロナ対応や物価高騰への支援策などに対し、府内の医療機関が安心して医療提供できる体制整備と府民の医療のアクセス保障を要請した。

物価高騰で医療経営に影響

 協会は「電気料金等の光熱水費や食材料費の高騰に対する医療機関への財政措置の実施・継続」を求めて府に要請書を5月25日提出した。京都市以外の府内市町村には同日付で郵送。京都市には6月8日に提出。
 物価高騰による光熱水費や食材料費の高騰が医療機関の経営にも大きく影響していることを明らかにすべく、全国の保険医協会・医会は3月に会員医療機関を対象にアンケートを実施。京都では医療機関の約9割が22年同時期と比べて「電力料金が上がった」と回答した。うち約6割の医療機関は「30%以上値上がりしている」と回答。自治体は物価高騰対策として地方創生臨時交付金などを活用した支援を実施してきたが、アンケートではこれら支援の継続を要望する声が多く寄せられた。要請書では23年度も引き続き支援策を講じるよう求めた。(アンケート結果の詳細は次号掲載予定)

感染対策の医療体制充実を

 府がこれまでの新型コロナ対策を検証し、引き続き新型コロナ対応と新興感染症対策を進めるに当たっての取り組みの改善を求め「京都府における5類への位置付け変更に伴う医療体制」の要請書を5月29日、府に提出した。要請内容は、第1波からの感染者・死亡者数などのデータに基づいた総括と改善、感染拡大時の公的発熱外来の設置準備、病診・病病間の入院調整のための受入病院空床状況の共有環境の整備、福祉施設入所者の入院先確保の積極的支援など。
 新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日より5類に移行し、感染者の全数把握が定点報告に変わった。府は府内125定点の8日から14日の1週間の平均感染者数(1定点当たり)は「2・03人」、15日~21日は「2・96人」、22日~28日は「2・60人」と公表しているが、これまでのような正確な感染状況は把握できない。協会は、引き続き感染状況に応じた対応を府に求めたい。

みやま診療所の体制維持を要望

 南丹市美山町の国保みやま診療所は、22年11月1日より入院病床を休止し、再開のめどが立たない中、所長が6月末で辞職する。所長辞職に当たっては、同市が入院病床の再開の動きを見せないことへの「抗議の辞職」(京都新聞5月18日)と報じられている。また、同市は病床休止の理由は所長の体調不良としているが、所長は体調に問題はないと否定している。
 同診療所は21年4月にそれまでの医療法人による経営から南丹市直営に移行。当時、協会は南丹市の直営化は歓迎するが直営化に伴う事業機能の縮小は懸念するとの意見書を同市へ提出していた。
 同診療所は京都府保健医療計画上のいわゆる「へき地診療所」で、人口減少と高齢化が進む地域にある。協会は、美山町民の医療保障の後退をもたらすことのないよう、直ちに診療継続に向けて取り組むことを求め、5月30日に府に要請書を提出した。

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