医界寸評  PDF

 パラダイムシフト:時代や社会において、常識的な認識・価値観が大きく転換すること。一時期よく使われた言葉だが、医療の周辺にもパラダイムシフトの波が押し寄せている。マイナカードへの保険証機能の追加、保険証の廃止はあっという間に決められてしまった。これだけであればパラダイムシフトというほどではないが、これにかかりつけ医制度などをリンクさせると、日本の医療の原則である国民皆保険制度やフリーアクセスは形骸化するのではないか▼遠隔医療もCOVID 19の流行を機に制限が緩和されているが、AI診断などを利用して今までの医療が一変し、コールセンターのような診療に変えられないか心配だ。ChatGPTという人工知能が話題になっているが、我々医療者は機械に負けないように、人間でなければできないことを模索していかなければならない▼消費税も今までは帳簿方式で仕入れ税額控除を行えたが、インボイス制度に変更しなければ行えなくなる。秋には施行される予定だ。これはさらなる消費税率の引き上げ、簡易課税・非課税事業者の締め付けの布石ではないかと危惧する▼これらの大きな変化を、まるでオセロゲームの終盤に一枚の手駒で多くの色が変わるかのように、一見小さな政策の変更で大きな議論もなく推し進められていることに怒りを感じる。(内)

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