「前医批判」の影響を具体的事例で解説 共済利用や活動への参加も呼びかけ 府内病院勤務医を対象に講習会  PDF

「勤務医に役立ち病院の経営に資する情報提供」と「保険医協会の事業の特長を知っていただく」ことを目的に、協会は1月18日、勤務医のための講習会をウェブ開催。京都府内病院の勤務医7人が参加した。
講習会は上田和茂理事が進行、「勤務医に役立つ保険医協会の共済制度」として曽我部俊介理事より、「医師賠償責任保険」のサポート力、「斡旋融資制度」の低利と使いやすさを紹介後、「グループ保険」と「保険医年金」の特長点を詳説した。また新型コロナの感染拡大で医療体制の課題が明らかになったが、協会は、医療機関・患者ともに安心・安全な医療提供体制となるよう、国や京都府などに充実、改善の要請を続けている。勤務医師にも、国民皆保険制度を守り、地域医療を守る活動へのご協力をお願いしたいと述べ、協会への入会と共済制度の利用を呼びかけた。
「その何気ない一言が医事紛争を拡大させます~医師賠償責任保険の運用等も含めて~」として名倉良一監事(医療事故案件調査委員)は、①医師賠償責任保険の運用・紛争解決の流れ②勤務医の先生方に気を付けていただきたい「前医批判」―の2テーマで講演。協会は全国に先駆けて1968年に医師賠償責任保険を導入し、取扱件数は2千件超、解決率98・1%(22年5月末時点)となっている。損害賠償が生じる3条件[?過失がある?損害が発生している?過失と損害の間に因果関係がある]を挙げ、医療事故が発生し、医療機関側に過失があったとしても、イコール賠償責任が生じる訳ではないと説明した。
「前医批判」が原因で医事紛争になった具体的事例などを紹介。後医の発言は悪意がなく無意識であったとしても、患者は前医に不信感を抱き、責任追及や賠償請求につながる。一方で後医には訴訟時の証人や医療過誤の証明を期待される。医療機関との係争を考えた患者にとって、後医が協力を拒めば前医のみならず後医にも裏切られたと感じてしまう。患者は個人的な「医師不信」から医療全体に対して不信感を抱くことにつながる。協会としてはこういった事態は避けなければならないと考えている。根拠のない前医批判は、患者にも有害であり、医事紛争のきっかけとなり、拡大させる可能性があることを認識してほしいと述べた。
参加者からは「非常によく理解できた」との感想が寄せられた。次回は6月28日に「勤務医が知っておくべき実践的な保険診療」をテーマに開催予定。

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