医界寸評  PDF

 岸田政権は子ども関連予算を倍増し、異次元の少子化対策に挑戦すると表明。必要な政策を3月末までに検討するとしているが、根本的解決策になるか注目される▼2021年の世界の合計特殊出生率ランキング(世界銀行)を見ると、1位ニジェール6・8、2位ソマリア5・9、3位コンゴ5・8とアフリカ諸国が上位を占める。先進国では日本1・3、ドイツ1・5、イギリス1・6、フランス1・8と1・0 2・0が多い。先進国全体で出生率が落ち込みつつあるのは単なる社会現象か、生物としての生殖能力低下を意味するのか。真の理由は分からない▼新人類が誕生したのは20万年前。新人類のクロマニヨン人の寿命は32歳、ギリシャ・ローマ時代は36歳と推定されている(万物寿命事典)。日本でもほんの数十年前まで人生50年だった▼フラ・アンジェリコその他が描いた「受胎告知」でマリア様が天使から受胎を告知されたのは14歳頃、源氏物語で光源氏が若紫と結ばれたのは若紫が14歳頃とされている。マリー・アントワネットがフランスのブルボン王家に嫁いだのは14歳の時。人類は誕生以来、ほんの数十年前まで綿々とこのようなライフサイクルを繰り返してきた。近年社会構造が変化したと言っても人間の生理はそう簡単に変わらない。さまざまな観点から考えてみる必要がありそうだ。(Clear)

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