主張 患者が必要とする医療は、必要なだけ提供できる社会保障を  PDF

 2022年に悪性リンパ腫の治療を受けた。
 寛解導入療法から始まり、地固め療法、最終的には自家血幹移植をして完治を目指した。長期療養を終え、診療を再開した。加入している医師国保から、22年1月から11月までに私が使った医療費の明細が送られてきた。一連の治療で私が使った医療費の総額は約1200万円であった。3割負担で360万円だが、高額療養費制度があり、実際に支払った自己負担はそこまではいかなかった。
 これを見て、私も含めて公的医療保険に加入している人たち、そして国民が払っている税金で私の命は救われたと感じる。このことに本当に感謝しなければならない。皆さんに助けてもらった命を大切にして、今やらなければならないこと、今やりたいことを後回しにすることなく行っていきたいと思う。助けてもらった命をさらに一層、しっかりと目の前にいる患者一人ひとりをしっかり治していくことに使い、返していかなければならないと、決意を新たにした。
 私は自己負担金を払うだけの経済的な余裕があり、自家血幹移植まで行い完治に至った。しかし、経済的理由で治療を途中で打ち切らざるを得ない人、また医療につながることができない人もいると思う。それを考えると、まだまだ自分の命をお金で買うという思いは否めない。
 やはり、全ての国民が必要とする医療は、経済的な理由に左右されることなく、十分で必要なだけ提供できる、そんな社会保障が必要である。
 保険料や自己負担の軽減。それに加えて高額療養費制度のさらなる拡充を国に求めていかなければならない。そして、国が強く推し進める社会保障の自己責任論。「自分のことは自分で何とかしろ。それでもどうしようもなくなったら最低限国が助けてやる」という自助、互助、共助、公助の間違った社会保障の考えを国に改めさせる取り組みを、会員各位、そして国民とともに取り組んでいきたい。

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