第204回定時代議員会開く コロナ“後”の政策とオン資義務化に危機感  PDF

 協会は1月26日、第204回定時代議員会を開催した。当日は会場のホテルグランヴィア京都とウェブでつなぎ、代議員63人(ウェブ61人、会場2人)、役員19人が出席し、飯田泰啓議長が進行した。2022年度上半期活動報告と下半期重点方針、決議案を提案し、全て賛成多数で採択された。(関連2面)

 冒頭、鈴木卓理事長は「新型コロナの5類移行、オンライン資格確認の義務化と保険証廃止、かかりつけ医制度の法制化が急激に動き出しているが、上に政策あれば下に対策ありと言われる。協会が20年近く取り組んできた京都府の子育て支援医療制度が小学校卒業までに拡充され、息の長い取り組みの重要性を再認識した。会員の声を集め対策を探し、より良い医療の実現を求めたい」とあいさつした。
上半期活動を総括
 茨木和博副理事長が22年度上半期の活動を総括した。オンライン資格(オン資)確認の導入義務化と健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証の導入が打ち出されたことを受け、協会は真の狙いは医療費抑制として、厚労省へオン資義務化反対の会員署名を提出、健康保険証廃止反対の患者署名を開始した。
 コロナを巡っては、第6波で府内の福祉施設の入所者が感染しても入院できずに亡くなる事例が多発。留め置き問題として関係団体とともに府へ改善を求めた。昨秋、全数把握の見直しや発熱外来の受診対象者の制限など感染症法上の取り扱いが緩和され、協会は正確なデータの公表と全ての患者の確実な医療の保障を府へ要請した。かかりつけ医制度については、協会はかかりつけ医「機能」は重要だが、制度化の必要性はないと厚労省との懇談で訴えたことを報告した。
生命を守るために
コロナ政策の検証を
 続いて、渡邉賢治副理事長より情勢を報告。コロナ収束が見えない中、ロシアによるウクライナ侵攻で、国民を守るとはどういうことか考えさせられたと1年を振り返った。平和な世界の希求とは反対に、国は防衛費の増額に躍起になり、安保関連の3文書を閣議決定だけで改定したことを強く批判。
 国はコロナ禍を経験してもなお、医療と社会保障の削減を進めており、地域医療構想や医師偏在指標による病床数や医師数のコントロールのさらなる強化に懸念を示した。外来機能報告制度やかかりつけ医制度の法制化もその流れと一体化したものと指摘。医療者の望みは、一番医療を必要とする患者に医療を届けることだとし、会員の声を国へ届け医療提供体制の充実を求めたいと述べた。
医療提供体制改革の動きに注視
 鈴木理事長が下半期活動方針を提案。昨秋のコロナ全数把握の見直し以降、基になるデータが不十分な中での5類引き下げ議論に危機感を示した。医療機関の負担軽減は当然考えるべきとした上で、第8波の死亡者数の多さを指摘し、正確なデータの分析と特に高齢者の医療の保障を求める運動を継続していきたいと述べた。国はコロナ禍の医療ひっ迫が開業医の対応の不十分さやフリーアクセスの機能不全によるものとして、これまでの医療提供体制改革「かかりつけ医制度の法制化」「外来機能報告制度」などを一気に進めようとしているが、これらの動きに懸念を示した。国が進める医療DXについては、実際には医療機関や患者の負担増を進め、民間企業の成長戦略の利用につながると指摘。慎重に議論していく必要があると述べた。

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