【理事提言】開業医医療に正当な評価を、そして自由を  PDF

【理事提言】開業医医療に正当な評価を、そして自由を

政策部会 吉村 陽

 私は田舎の開業医である。土地柄もあるが、加齢に基づく疾患が原因での長期にわたる在宅療養中の患者さんは案外少ない。在宅を勧めても、通院介助者がいればかなりの方が「生きがい」のようにして通院してこられる。ヘルパーや訪問看護は利用しても医師の元には自ら受診される。

開業医が、治りやすい段階で疾病を早期発見し、日常生活に支障がでないよう慢性疾患を管理していることを患者さんは分かっておられるのだろう。それ故、在宅で診療を待つのではなく、自ら受診されるのであろう。こうして医療費が軽減され、国民皆保険制度を支えてきた。

超高齢社会を迎え地域包括ケアシステムの構築が進められている。開業医は在宅開始時と急変時の対応のみ期待されている。しかし開業医の仕事は在宅医療だけではない。地域医療を最前線で担っている。このことを評価せず、地域医療が不備なままでは、地域包括ケアなどあり得ない。

今の制度は、開業医には複雑怪奇である。包括化で単純化されたかに見えても、処置した方が、処置しない場合より低く算定されたり、複数科受診している患者さんの便宜を図り一括して投薬(他医診察料が不要となる)しても7種類以上になると処方料、薬剤料が削られる、という不思議な制度もある。最近では「総合医」「総合診療医」という専門医制度が提案されている。開業医がその能力を持つことは有意義なことだが、フリーアクセスを阻害するゲートキーパー機能を持たせることになれば有害である。なおかつ開業医がこの資格を取得し維持することは至難である。田舎の開業医が講習へ出席するには休診しなければならない。その間、地域医療は空白となる。地域医療の空白を防ぐため、代診医を探そうにも難しく、うまく見つかっても、保健所や地方厚生局への変更届けも必要になり個人ではとても煩雑である。

我々開業医が地域医療に果たしてきた役割を再評価し、力を発揮できるように、地域に合った柔軟な医療制度を求める。

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